ニューポートのフラワーショー

  • 2014.06.29 Sunday
  • 20:48
JUGEMテーマ:アメリカ生活
ロードアイランド州のニューポートでこの週末に行われたフラワーショーに行って来た。四月に訪れたRosecliffで開催されている。入場料は安くないが、毎年行っている友人に勧められたので一緒に行ってみることにしたのだ。前もってチケットを買えば二人で20数ドルというお得なディスカウントがある。

フラワーショーは毎年テーマを決めて、そのテーマに沿って、色々な部門でコンテストがあるらしい。その他、園芸関係アイテムの販売や、ニューポート付近のファッション関係の店がブースを出したりしているのでショッピングも楽しめるとのことだ。お天気にも恵まれ、ゴージャスに晴れた夏の日となった。

Rosecliffの前庭の展示は、色々な屋外園芸の入賞作品。これはメールボックス(郵便受け)をあしらってあり、小さな花壇、というカテゴリーだそうだ。
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今年のテーマは「旅」(Voyage)で、特にニューポートが別荘地としての全盛期を迎えた20世紀初期の旅がテーマらしい。こんなクラシックカーも展示されている。ちなみに車の後ろにある木は、すべてこのフラワーショーのために臨時に植えられたものだ。
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前庭には園芸のアクセサリーや庭のデコレーションアイテムを売るブースがたくさん出ていた。その中で目を引いた物を幾つか。ニューポートはもともとアメリカ東部の大富豪が避暑地として夏だけ住み、社交界を楽しんだ場所なので、今でもお金持ちが多い。そのため、普通の庭園アクセサリーの店では見かけないようなものもあった。お値段もかなり高めだ。
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ブロンズのかなり大きな亀。大人が座れるくらいのサイズ。
 
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実物大の子供の銅像がいっぱいあったのだが、どうも近くで見るとこれが不気味なのだよね…。
 
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ペリカン。
 
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TIME誌の記事に日米の子供事情の違いを見る

  • 2014.06.14 Saturday
  • 09:09
JUGEMテーマ:アメリカ生活

先日、TIME誌でこんな記事を見つけた。

‘Cool’ Kids More Likely to Have Problems Later in Life
少々乱暴に意訳すると、「人気者のティーンエイジャーは将来ろくな人生を送らない」という見出しである。

学園モノの映画は世界共通で人気があるジャンルだ。アメリカでも、たくさんの学園モノの映画があるが、Mean GirlsSixteen Candlesなどは何年たっても根強い人気がある。人気テレビドラマ「Glee」やディズニーで大当たりした映画、ハイスクール・ミュージカルなども大抵のパターンはパッとしない主人公と華やかな生徒たちが対照的に描かれるが、最終的には主人公がハッピーエンドになる、というものだ。

今回バージニア大学が行った追跡調査によると、中学時代、人気があった子供たちの多くは学校時代から早期の飲酒や異性との交遊が活発になるが、22歳くらいになると、その行為がさらにエスカレートして、自分をよく見せようとするあまり、犯罪行為に手を染めたりするパターンも多くなる、と言う。そしてその頃には、他の同年代の人たちからはそういう言動にすっかり呆れられてしまう、というのだ。

これを読んでいて、つくづく日本とアメリカの学校システムの違いと、カルチャーの違いを感じた。アメリカにずっと住んでいるとわかるが、中学や高校時代の花形とされる、いわゆるステレオタイプはある程度決まっているらしい。さすがに21世紀にもなってくると、1980年代の青春映画に映し出される世界とは多少違ってきて、いわゆる「オタク」な子が脚光を浴びたりすることもあるのだが…。日本の学校での典型的な人気者、とはどういう感じなのだろう?自分の時(はるか昔だが)を思い出してみる。男子はやっぱりスポーツが出来る子だっただろうか?女子は…どうだろう。田舎と都会でも色々違ってくるかもしれないが、特に「これ!」という決め手はなかったような気がする。少なくともアメリカのように、映画やドラマでパターン化されるような、型にはめやすい現実はなかったと記憶している。

アメリカで言う典型的な中学・高校時代の花形と言えば、ずっと前から、男子はフットボールチームの選手、女子はチアリーダーというステレオタイプがまかり通ってきて、映画でもそれが如実に表れている。そして、この記事はフェースブックで紹介されていたのだが、そこにたくさんついていた色んなアメリカ人のコメントが興味深かった。

「これはほんとだよ!同窓会に行ったら今女性にモテモテなのは当時負け犬だったオタクたち。みんな会社を経営したりしてすっかり羽振りがよくなって、自信にも満ち溢れている。服装も見違えるようにおしゃれになっていたね。一方昔人気者だったフットボール選手たちと言えばみんな未だに地元で造園業で働いていたりして、話題と言えば高校時代のフットボールの試合の思い出話ばっかり。おなかがぼっこり出てすっかりオッサンになって、服装もジャージだった」

面白いことに、これと似たようなコメントが続々といろんな人によって書き込まれていた。

もちろん、いろんな例外はあるだろう。みんながみんなそういうわけじゃないよ、という当たり前の事実を指摘するコメントもあったが、この記事を読んで共感を覚えた大人は決して少なくなかったようで、その辺がとても興味深かった。

アメリカでは、高校までが義務教育である。そのため、私立の学校は基本的に少数派だ。いわゆるエリートの私立学校と言えば、本当に裕福な上流階級の子女だけが行く全寮制(主に高校)。それ以外の私立は教会(主にカトリック)が経営するカトリック学校である。こちらは幼稚園から高校まである。カトリック系学校の歴史は古い。19世紀にヨーロッパ、特にアイルランドから多くのカトリック教徒が移民してきたものの、宗教としてはマイノリティであったため、色々差別や偏見の的となった。そのため、カトリック信者たちの子女がいじめられたりすることなしに、安心して勉強できる環境を、そしてカトリック教徒の文化と伝統を守り、伝えていく、ということで多くのカトリック学校(Parochial School)が作られたのだ。

ボストンエリアにはアイルランド系、イタリア系の人が非常に多いため、カトリック学校の数は多い。共学もあるし、聖心系列の女子高もある。自分の住む町の公立学校のレベルがあまり良くない場合、あえて近隣のカトリック学校を選ぶ親もいる。公立学校で苛められたのでカトリック学校へ転校するケースもある。

全寮制のエリート私立学校に行く人はわずかで、たとえばジョージ・W・ブッシュ大統領はボストン郊外にあるフィリップス・アカデミーの出身。しかし経済的にもかなり高額で、入学も困難だ。数も圧倒的に少ない。

やはり大多数の子供たちは小学校から高校まで、自分の住む市町村立の学校へ行くのが一般的である。つまり、基本的には同じ子供たちと一緒に12年間勉強し、遊び、行動を共にするというわけだ。

ボストン市のように大都市ともなると高校も複数になるが、基本的には住んでいる地区で自動的に振り分けられる。私が住んでいる町のように人口数万人程度なら、町の高校は一つだ。さらに田舎になり、規模の小さい市町村だと、隣接する複数の地方自治体が共同で一つの高校を作ったりもする。夫が働いている町は州で五位以内に入る人口の多い町だが、それでも高校は一つだけ。ほぼ四千人の生徒がいる。こちらの高校は四年制(小学校は五年、中学は三年)なので、一学年あたり、約千人ということになる。私の日本の母校(県立)の全校生徒の人数が当時千人弱だったことを考えると、かなりの大所帯だ。

その他に、近隣の市町村が共同で運営する職業高校もある。これは日本の工業高校や専門学校を全部一緒にしたようなもので、そこで教える技術も料理から自動車修理、水道管工事、コンピュータ関連やバイオテクノロジーなどのハイテク技術など、非常に幅広い。そこから大学へ進学するオプションも当然ある。

うちの町では、小学校はできるだけ徒歩で通える圏内、ということでやや小規模で数を多めに、中学、高校は一ヶ所にまとめる、という形を取っている。スクールバスを多用して、小さな小学校をまとめて少し大きめの小学校を作り、効率を良くした町もある。隣の町はそのケースで、10年ほど前に廃校になった小学校の建物はいずれも20世紀初頭に建てられたしっかりしたレンガ作り。それほど大きな建物ではないので、一つは業者が買い取り、リノベーションして高級分譲マンションとなった。もう一つは壊され、その後の土地は分譲住宅地として開発された。

幼稚園から小中高校に至るまで、それぞれの市町村が一括管理している、ということはつまり、教師を雇い、給料を払うのもそれぞれの市町村の責任である、ということだ。だから、自分で転職活動をしない限り転勤はないし、日本のような一定期間の異動もない。市町村の予算によって、それぞれ教師の給料や福利厚生の内容も違う。教育委員会は選挙で選ばれた一般市民で基本的にボランティア。(他の地域では市長が指名するケースもあるそうだ)教育長はその教育委員会が選考して雇う。教員、校長、教育長になるにはそれぞれ州によって発行されるライセンスが必要であり、教育長は現場のプロであるが、教育委員になるにはその必要はない。ただし、その町の住民で、他の市町村で教育の現場にたずさわっている人間が教育委員となるケースも多々ある。うちの町でも現在、7人いるメンバーのうち、一人は引退した元教師、一人は近隣の町の小学校の副校長、もう一人はやはり近隣の町の教育事務所で働いている。

市町村によって予算が違い、管理体制もそれぞれ独立しているということは、カリキュラムも違ってくるし、学校のレベルにも当然差が出てくる。子供たちの成長に伴って、公立学校のレベルが高いところに引っ越す家族も少なくない。学校のレベルが高い市町村は不動産の値段も当然高いことが多い。

話が大分それてしまったが、高校が義務教育である、ということで、その環境がかなり日本と異なるということを日々感じるのである。入試でそれぞれ違う高校へ行き、ある程度学力が近い子供たちが一緒に三年間過ごすのと、アメリカの方式では環境が自然と変わってくるのも当然のことだが、その分、学校でのヒエラーキーも一層シビアなものになるのだろうと想像できる。

そこで、上記のような典型的な「秩序」が出来上がっていたのかもしれない。いずれにせよ、興味深く読んだ記事だった。
 

読書レビュー:20世紀初頭のニューヨークに暮らすユダヤ人家族をいきいきと描く児童文学 "All-of-a-Kind Family"

  • 2014.06.02 Monday
  • 22:05
評価:
Sydney Taylor
Yearling
¥ 508
(1980-06-01)

JUGEMテーマ:読書
久しぶりに面白い児童文学にめぐり会えた。フェースブックで、このシリーズの続編が復刊された、という米国のニュースを見かけ、年上の友人が「子供の頃夢中になって読んだ」とコメントしていたので、気になってkoboでダウンロードしてみた。値段は$6.99。

作者のシドニー・テイラーはサラ・ブレナーとして1904年にニューヨーク市マンハッタンのLower East Side(ローワー・イーストサイド)のユダヤ人家族に生まれる。両親と彼女の姉、エラは1900年にヨーロッパから移民してきた。当時のローワー・イーストサイドは移民と労働者が多く住んだ、いわゆる下町である。同じニューヨークのブルックリンで生まれ育った作曲家、ジョージ・ガーシュウィン(1898-1937)とほぼ同世代にあたる。

この本は、ジャンク屋を営む父と母、長女のエラ、ヘンリエッタ(愛称へニー)、サラ(この本の作者。大人になってシドニーと改名する)、シャーロット、ガートルード(愛称ガーティー)の五人姉妹という大家族の日常を鮮やかに描いた児童文学である。1951年に出版され、その後四冊の続編が約20年に渡って出版された。

20世紀初頭のニューヨークのユダヤ人社会の生活が子供の目から描かれるのだが、それがとても興味深い。彼女より40年ほど早く生まれ、開拓時代の中西部で育ったローラ・インガルス・ワイルダーの「大草原の小さな家」シリーズと、時代・場所こそ違え、当時の生活を子供の視点から鮮やかに切り取って文章にしている、という点では共通するものを感じた。子供たちが成長していく姿ももちろん読んでいて楽しいのだが、生活文化に興味がある私にとっては、母親が色々な伝統行事の準備をする光景や、町へ子供たちと買い物に行く様子などが実に読んでいて面白い。

五人の娘たちは小学生から6歳までだが、三つのベッドを五人で分け合って一つの部屋で眠る。毎日1セントのお小遣いをもらい、時にはそれを貯めて父親の誕生日にプレゼントを買い、時には買い食いを楽しむ。五人それぞれに個性があるが、その結束は強い。母親は厳しい家計をやりくりし、無駄を出さないようにしながら、五人の育ち盛りの娘たちを時に厳しく、時には優しく育てる。父親も女系家族に時に圧倒されながらも愛情豊かである。

そして父親の仕事を時折手伝う白人の謎めいた青年、チャーリー。気が向いたときだけふらりと現れるこの青年は、実は裕福な家の出だが、ある事情があって親と縁を切り、ある人を探していた。ブレナー家の子供たちは子供好きで優しいチャーリーが大好きで、特に思春期の少し手前のサラは彼に淡い思いを寄せていた…。

というちょっと謎めいたストーリーも全編を通して流れているのもちょっと面白い。

本の最後にはブレナー一家にとてもステキなサプライズが待っている。児童文学好き、特に時代ものが好きな人にはお勧め。また20世紀初頭のニューヨークやアメリカのユダヤ人の歴史に興味がある人にも面白い本だと思う。残りの四冊も読む予定で、早速第二巻になるMore All-of-a-Familyもダウンロードした。

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最後にこのブログに掲載されている写真、文章などすべての内容の転載は固くお断りします。どうかご遠慮ください。

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