映画レビュー:「舟を編む」〜適材適所と一生を賭ける仕事

  • 2014.05.28 Wednesday
  • 22:14
JUGEMテーマ:映画
テレビジャパンで放送された映画「舟を編む」を録画してじっくりと観た。英語字幕なので、あとでアメリカ人の夫にも観てほしいと思っている。

原作は以前、NHKの「週刊ブックレビュー」で紹介されており、読みたいな、と思って日本のアマゾンのウィッシュリストに登録してあったが、まだ未読。

「大渡海」(だいとかい)という新しい辞書を編纂する出版社の人々と監修をつとめる大学教授の10数年を描く物語である。

松田龍平演じる馬締光也(まじめみつや)は出版社の営業部に勤務していたが、人とのコミュニケーションが極端に苦手で仕事がうまくいかない。そんな彼を、引退を間近に控えた辞書編集部のベテラン、荒木(小林薫)が抜擢する。マジメ、とみんなに呼ばれる光也はそこで抜群の才能を発揮し、同僚で、明るい性格でちょっとお調子者の西岡(オダギリジョー)や、監修者である国語学者の松本朋佑(加藤剛)と共に13年という長い歳月をかけて、「大渡海」の出版に向けてひたすら編纂授業に没頭する。

映画を観終わってまず思ったことは原作を読まなければ、ということだ。映画がこれだけ感動的だったのだから、原作はおそらくもっと読み応えがあるだろう、と思った。

そしてキャストの素晴らしさ。
松田龍平の、冒頭での登場から最後のシーンまでの演技が素晴らしい。不器用で人とまともに顔さえ合わせられなかった青年が自分の一生を賭ける仕事にめぐり合えたことで、人間として成長していく姿がしっかりと表現されている。同僚でちょっとちゃらんぽらんなようだけど、優しくて実はけっこう熱いものをもっている西岡を演じるオダギリジョーもいい。気品と知性と、若者を上から目線ではなく、決して衰えない好奇心と暖かい共感で見守る松本教授を演じる加藤剛が素晴らしい。下宿屋の渡辺美佐子(ひさびさに元気な姿を観て嬉しい)、新人として13年後に辞書編集部に配属になる岸辺みどり役の黒木華さんの存在感がいい。マジメが恋をする女性、香具矢(かぐや)の透明感がいい。

言葉を愛する人間として、辞書というものが作られていく過程を多少なりとものぞくことが出来たのも楽しかった。新しい辞書を一から作るということの大変さを垣間見た思いだ。

ここから先は映画のネタバレになるので要注意です。
続きを読む >>

GloucesterのSeaport Grilleでロブスターサンドイッチを食べる

  • 2014.05.25 Sunday
  • 22:43
JUGEMテーマ:アメリカ生活食べある記|グルメ今日の晩ご飯
さて、昨日はニューオーリンズ産地直送のザリガニをたくさん食べたので今日は家で普通に料理しよう、と思っていたら、午後に夫が同じ町に住む友人としゃべっているうちに
友人「車で40-50分で行ける圏内でどこか美味しいシーフードレストランを知らない?今めちゃめちゃシーフードが食べたい気分なんだ」
夫「ミル姐、どこか知らない?」(以前ツアーガイドをやっていたので私は夫よりちょっと詳しいかもしれない)
私「色々あるけど…。グロースター(Gloucester、ボストンから少し北にある海沿いの町)なんかどう?圏内に入る?」
夫「入る入る」
私「グロースターの海沿いにSeaport Grillって言うわりと美味しい店があるけど。そこのロブスターロールは美味しかったわよ」
夫「だ、そうです(友人に)」
友人「じゃ、うちの夫婦とそっちと4人で行かない?」

という話に突然なったのであった(笑)。

このSeaport Grilleというレストランは、ガイドの仕事で訪れたのだが、グロースターの港にあり、広々としたいい雰囲気のレストランだった。サービスも良く、毎週木曜日にスペシャルで9ドル95セントという破格の値段で出しているロブスターロールも美味しかった。その値段の割りには巨大で日本人なら二人で一人前というところだ。

少し早めに5時半頃到着。日曜日なのでスペシャル価格ではなく、時価になってしまうが、私のお目当ては当然ロブスターロール。これがこの店のロブスターロールだ。かなり大きい。この日の値段は20ドルちょっとだった(ボストンエリアでちゃんとしたレストランなら、ロブスターロールの値段はだいたいそんな感じだが、ここのはサイズを考えるとかなり安い)。しかしウェイターが続けて言う。

「今日はスペシャル価格ではないし、それならもう数ドル足してロブスターBLTをお勧めしますよ。僕のイチ押しです」

ほおおお?そうなの?
BLTとはベーコン、レタス、トマトのサンドイッチのことだ。カリカリベーコン、レタス、トマトのスライスをマヨネーズを塗ったパン(たいていやや薄めの白食パン)に挟む。アメリカにしては軽めのあっさりした軽食である。

それに加えてアボカドのスライスとロブスターの身のサラダがたっぷり詰まっているという。これは確かに美味しそう。ということで、カップのクラムチャウダーとそれを頼んだ。付け合せは基本フレンチフライだが、それをオニオンフライに替えてもらう。あとはピクルスがついてくる。
続きを読む >>

ルイジアナ名物のザリガニを食べる

  • 2014.05.24 Saturday
  • 22:39
JUGEMテーマ:アメリカ生活今日の晩ご飯
毎年近所の知人が開いているケイジャンパーティに行ってきた。彼女はかなり年上だが、日本の姉妹都市との活動を通して知り合った人だ。ニューオーリンズ出身で、毎年色々な知り合いを招いて自宅の庭でケイジャンパーティを開く。

庭にあるだけの椅子とピクニックテーブルを出し、車庫にセルフサービスで色々な料理を出す。私たち夫婦は毎年ビールを持っていくが、他にも料理を持ってくる人、デザートを持ってくる人などもいる。手ぶらでももちろんOKだ。

幸いお天気にも恵まれてたくさんの人が来ていた。

彼女の手作りガンボ(ルイジアナでよく作られるスープ。彼女が作るのは茶色のシチューのようなこってりタイプ)は野菜オンリーのベジタリアン仕様、エビ入り、スパイシーなチキンソーセージ入りの三種類だ。それをパサパサした長粒種のご飯にかけて食べる。ちょっと辛くて豆もたっぷり入って美味しい。

そしてメインはなんといってもこれ。(クリックで拡大します)ザリガニである。ルイジアナ料理と言えばザリガニ!ということらしい。これは、現地で獲れたものをすぐ茹でて、それを冷やして冷蔵エクスプレス便で届けてきたものらしい。(地元にコネがないと、当然ボストンでこんな贅沢なことは出来ない)茹でるときには写真にも映っているが、どうやらスパイス、トウモロコシやソーセージ、野菜のくずなどを入れるようだ。一緒に茹でたとうもろこし、かなり出汁がしみこんでいてこれまた美味しかった。
これが大きなビニール袋に入ったものがダンボール数箱分。庭にいくつもあるピクニックテーブルの上に何枚も新聞紙を広げ、その上にどさっとこのザリガニをあける、という豪快さ。ペーパータオルのロールが無造作に置かれ、このザリガニの殻を手で剥きながらどんどん食べる。大きさはそれほど大きくはない。日本の甘エビとそれほど変わらないサイズだ。だから身はそれほど多くないが、味噌は見た目のわりにけっこうある。おしゃべりしながら食べていると、後から後から自分でも気がつかないうちに手を出して殻を剥いて食べており、気がつくと自分の前には殻の山が出来ている、という具合だ(笑)。

毎年当たり外れはあるそうで、今年は当たり年。けっこう大きくて身もしっかりしているものが多かった。大きいと味噌も多いので、これまた美味しいのである。茹でるときの味付けはけっこう濃い目らしいが、それもあって、お酒飲みにはたまらないおつまみだと思う。しかし、残念ながらビール好きのうちの夫は甲殻類アレルギーで食べられないのであった(笑)。

ペーパータオルで手を拭いていても、当然ベトベトになるので、最後にちゃんと洗面所で手を綺麗に洗って帰宅したが、どうやら匂いは少し残っていたようで、ミケはいつもの倍以上熱心にずっと私の手の匂いをかいでいた。
この週末は三連休である。月曜日はメモリアルデー(戦没者追悼の日)。お天気も少しずつ夏らしくなってきた。音楽教室の仕事はまだまだ続くが大学への出勤がないだけでもずいぶん夏休み気分になる(笑)。家も片付いてきたし、料理もまたできるようになってきた。散歩の習慣も復活した。夏はいつも春学期の忙しさから回復して生活を立て直す大事な期間である。一日一日大事にしたい。

「焼いておいしい」プリン味のキットカットを食べた…そして田澤投手とハイチュウ

  • 2014.05.18 Sunday
  • 09:37

RSSで日本の色々なニュース・コラムサイトをチェックしていると、日本のお菓子の新製品の記事もよく見かける。大抵の場合、限定発売だったりして日本でしか買えないものなので素通りしてしまうが、数ヶ月前に見たこの記事には強く心をひかれてしまった(笑)。焼いて食べるキットカット!それもプリン味!

ちなみにこちらで売っているキットカットはオリジナルのみ。日本で色々な味のキットカットが売られていることはこちらでも「知る人ぞ知る」話で、英語でも時々記事やブログで日本のキットカットが紹介されている。

日本食料品店では日本から輸入されたものを数種類買うことが出来るが、さすがにこの焼いて食べるものはない。

FBでリンクをシェアして、「これは食べたい!」と思わず書いてしまったら、四月末に姉妹都市からやってきたお友達(父兄で、生徒たちの付き添いとしていらした方)が、何と、お土産に持ってきてくださったのである!大感激である。しかも三袋!もう本当にありがとうございました、Nさん!(感涙)

その後大学の学期末で色々と忙しく、なかなかゆっくりとこれをトライする時間がなかったが、先日ついにこれを食べた。まずはパッケージ。表の焼いた時のイメージ写真が実に美味しそうだ。裏にはちゃんと焼き方の説明がある。実に親切丁寧。さすがニッポンのお菓子。
14-05-15-07__.jpg
続きを読む >>

四月とゴールデンウィーク

  • 2014.05.12 Monday
  • 22:34
四月とゴールデンウィーク期間はあっという間に過ぎた。

四月の誕生日、今年は日曜日だったが、その週、大学でいつものようにクラスを始めると、なんと、学生たちがサプライズのバースデーケーキでお祝いしてくれた。こんなことは初めてだ。ちゃんと名前入り(写真では消しています)なのが泣ける。
14-04-08_.jpg
今年の一年生たちは特にまとまりがよく、怠ける学生もほとんどいなくて実にいいグループで、私にもよく懐いてくれているのだが、これには感激した。ケーキは学生たちと一緒に美味しく食べた。

ゴールデンウィーク、こちらでは普通だが、私にとっては忙しい週である。大学では授業の最終週となり、期末試験と採点、そして成績付けに追われる。それと同時に、日本からは私が住むアーリントンの姉妹都市、長岡京市から毎年中学生と高校生のグループが約1週間のホームステイにやってくるのである。それに加えて今年は姉妹都市条約締結30周年。そのため、条約締結当時にアーリントンをよく訪れていた市民の人たち30名、そして市役所からは市長、市議会議長など5名のグループ、そして過去の中高生ホームステイプログラム及び高校の一年留学プログラムで子供たちをこちらに送った父兄5名などが一緒にやってきた。総勢70名ほどである。

5年前の25周年の時も、同じようなイベントがあり、この時は私は町役場の人たちと協力して事前の計画や手配をする立場だった。大学の年度末の忙しさと合わせて本当に大変だったのを思い出す。それから大学で教えるクラスが増えたので、今は当時ほど姉妹都市のプログラムには参加できなくなってしまった。ここ2-3年は、事前の準備や手配には参加せず、学生グループが到着してから、自分のできる範囲で観光ツアーの案内をするなどのボランティアをしてきた。

今回も事前の準備にはほとんど関われなかったが、市長をはじめとする市役所グループのアテンド及び通訳としてボストン到着から三日間、ずっと付き添った。観光案内、アーリントンの町の人とのやりとり、ボストン市長との面会や式典などの通訳などで一日12時間近いハードスケジュールだ。通訳でしゃべりっぱなしだった私も疲れたが、時差のある状態でほとんど休憩もなく一日いろんな人に会ったり式典でスピーチしたり、市役所グループの皆様も本当に大変だったのではないかと思う。

今年は春が来るのが遅かったボストンはゴールデンウィークの前にようやく気温が上がったが、姉妹都市の人たちの到着と同時に、また寒い雨模様に戻ってしまい、お天気にあまり恵まれなかったのは残念だった。しかし、桜もいいタイミングで咲いて、アーリントンの公園にも姉妹都市から送られた桜をはじめ、綺麗な花が咲いていたのは幸いだった。
14-04-25-1_.jpg

14-04-25-2_.jpg
市長一行が到着した土曜日は、そのままうちの町の評議員(ニューイングランド地方の町には町長がいない。その代わり奇数人数〜アーリントンでは5名〜の評議員が合議制で首長の役をつとめる。給料が出る常勤の仕事ではなく、他に仕事を持っている、いわばボランティアの仕事。事務的なことは、この評議会に雇われた常勤のタウンマネージャーが取り仕切る)の一人のもてなしでボストン市内のユニオン・オイスターハウスでランチ。その後、30人の市民団体やアーリントン市民で姉妹都市プログラムに携わる人々と共に、ボストン総領事の公邸での歓迎レセプションに出席。ボストン郊外の閑静な高級住宅街にひっそりとある公邸の内部はゴージャスな作りだった。総領事との記念撮影などはOKだったが、あまりインテリアなどを撮影するのははばかられたので、残念ながら写真は無し(笑)。

そして日曜日。
続きを読む >>

ハラールの夕食

  • 2014.05.10 Saturday
  • 22:51
JUGEMテーマ:今日の晩ご飯

やっと春らしくなった週末。夫の職場の知人に招かれて夕食をご自宅でご馳走になった。イラク人のご主人と、ヨルダン育ちのパレスチナ人の奥さんの若いカップルだ。小学生の子供が三人いる。二人ともヨルダンでバイオエンジニアの仕事をしていたが、政情不安定な中近東を離れ、アメリカに移民してきた。奥さんは日系の肥料を扱う大企業で働いていたそうで、家にはその時にもらったらしい日本の飾りが幾つかあった。

お二人とも敬虔なイスラム教徒である。私は中近東の料理は食べたことがあるが、イスラム教徒の家にお邪魔するのは初めてだった。奥さんはヒジャブ(頭をすっぽり覆う布)を身に着けている。手と顔以外の肌を見せないのがイスラム教徒の女性のたしなみだ。近代化されたトルコなどでは、それを着用しない女性も増えてきているし、フランスではヒジャブの着用が禁止されるなど、風当たりが強いところも少なくない。しかし、奥さんは誇りを持って着用していた。三人のお子さんの末っ子は元気なとてもかわいい女の子だったが、彼女も年頃になればヒジャブを着けるのだそうだ。

この日は私たち夫婦のほかにもアメリカ人夫婦が一組、同じ職場のブラジル人の若い女性が招かれており、7人でのにぎやかな食事となった。朝から料理をしていたという奥さんが誇らしげに食卓に大きな鍋を持ってきて中身を大皿にあける。どれも美味しい料理でたっぷり堪能したが、料理名を聞くのを忘れたのが悔やまれる。

一つ目のメインディッシュはこちら。鍋にぎっしりと詰まったものをそのままお皿に逆さにしてあけるとこんな風になった。玉ねぎ(破らないようにして一層ずつきれいに抜いていくのだそうだ。根気のいる作業)、ナス、ジャガイモ、ズッキーニなどの野菜にひき肉や米、野菜を詰めてある。それをセロリを底に敷いた鍋にぎっしりと種類別の層になるようきれいに並べて詰め込む。そしてそれを長時間かけてじっくり蒸し焼きにするのだそうだ。それぞれの野菜によって食感が違うので、中身は同じだが色々な味が楽しめる。辛くはないが色々なスパイスが効いていて、複雑だがしっかりとなじんだ、そしてとても優しい味だった。
14-05-10-1__.jpg
二つ目のメインディッシュは米、羊肉、ジャガイモ、玉ねぎなどの、日本風に言えば炊き込みご飯、西洋風に言えばピラフのような料理。これがまた美味しかった。ラムは骨付きをぶつ切りにして入れているのだが、柔らかくて骨からホロホロと外れる。ジャガイモは香ばしくねっとりとしていて、さらさらした長粒米のサフランライスのような味とこれまた実によく合う。おもわずおかわりしてしまった。
14-05-10-2__.jpg
鳥のモモ肉のケバブという感じ。これまたスパイスが色々効いていて、ほのかに辛いが旨味も強い。ヨーグルトソースを載せて食べるとヨーグルトの酸味とスパイスが絶妙。
14-05-10-4__.jpg

フムス(Hummus)。最近は日本でも人気が出ているようだが、ヒヨコマメにオリーブオイルやニンニク、練り胡麻などを入れてペースト状にしたものだ。これをピタブレッドやピタチップスなどにつけて食べる。ヘルシーなスナックとして人気が高い。市販で色々出ているので、どこでも買えるが、これはちゃんと奥さんの手作り。美味しかった。
14-05-10-5__.jpg

この他、初めて見てびっくりしたのが、食前にコーヒーテーブルに出ていた緑色の小さな果実。リンク先の用に緑色で小さく、ちょっと産毛が生えている。これは何ですか?と奥さんに聞くと、
「これはアーモンドよ。こうやってちょっと塩をつけて食べるの」
と、そばに添えてあった塩を盛った小皿にアーモンドの先をちょっとつけて、カリッとかじった。

真似をしてかじってみる。表皮がかなり分厚く、パリッとした食感がある。中の種(つまりやがて熟して、私たちが知っているあのアーモンドになる部分)は小さく、柔らかくて、汁がたっぷり詰まっている。

写真を撮らなかったので、どこかいいウェブサイトはないかな?と探したら、イスラエルのテル・アビブにあるヴィーガンカフェのブログに見事な写真があったのでこちらをご紹介しておく。なるほど、スライスしてサラダにしたりパスタのトッピングにしたりもできるのか。ほんのり酸味があり、とても爽やかな味で食感と合わせてついつい手が伸びてしまう。この辺りでは、アラブ食料品店で買えるそうだ。今が旬らしい。いかにも春の味覚、という感じだった。

この他にも、揚げたピタチップスや野菜サラダもあり、楽しい夕食だった。食事中にご主人がどんどん大皿の料理をみんなの皿に取り分けてくる(笑)。こういうおもてなしは昔の日本みたいでちょっと懐かしく嬉しい。

食後に皆で色々な話。イスラム教の習慣の話、日本の習慣の話、ブラジルの人種問題、教育問題など、話題は尽きず、色々と勉強にもなった夜だった。

現在は教育方面で働きながら、夫婦揃って専門分野であるバイオエンジニアリングの修士課程習得の勉強中。いずれは本業のバイオエンジニアリングの仕事に就きたいという目標に向って努力しておられるのだ。

アメリカはやはり今でも移民の国。それをよしとしない人々が少なくないのもまた事実ではあるが、今でも世界中から人々が移民してくる。子供たちのため、戦火にまみれる故郷や経済的に行き場のない故郷を後にして来るこういった若い家族は少なくない。夫の職場である町は中近東や東南アジアからの移民が非常に多く、そういう地域の公立学校ではこういった人々の子供たちをスムーズにアメリカでの生活になじませるためのサポートをするカリキュラムが必須となっている。そのため、この夫婦は現在、そのサポートをするアシスタントの仕事をしているのだ。中近東からの子供は多く、バイリンガルである彼らのようなアシスタントの存在は欠かせない。ちなみに、イラク人であるご主人と、ヨルダン育ちである奥さんのアラビア語は微妙な違いがあり、ご主人は「彼女には『あなたのアラビア語は訛ってる』とよくからかわれるんですよ」と笑っていた。

世の中には色々な文化圏があり、宗教があり、国がある。ニュースだけ読んでいるとつい見下したり嫌いになってしまうこともある。こういう個人レベルでの交流があるというのはありがたいことだ。その国の人を一人二人知っているだけで、親近感はぐっと増すし、そういう人と話すことで、ニュースからは知りえない理解を深めることもできる。アメリカにいてありがたい、と思うのはそういう機会が多いことだ。

草の根国際交流という言葉があるが、そういう活動をバカにしてはいけない。個人レベルでの異文化交流はその人の世界観の広がりにつながり、その輪が広がることはいずれ、国レベル、政府レベルの交流につながっていく。少しでもチャンスがあれば、そういう人と話してみることが大事なのだ。

自分もまた、アメリカに住む日本人としてその交流を担うべき人間なのだろう、と自覚を新たにした夜だった。ご馳走様でした。

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< May 2014 >>

お願い

コメント、トラックバックしてくださる皆様、ありがとうございます。

コメント、トラックバック共に、内容が不適切であると判断したもの、商業サイトによるもの、リンクなしのトラックバック、アフィリエイトのみのブログからのトラックバックは削除させていただきます。ご了承ください。

また、商業サイトによる無断(無許可)リンクはお断りさせていただきます。

また、ボストンの観光などについて個別でご質問をいただくことがありますが、なかなか個別の質問にはお答えする時間がありません。申し訳ありませんが、ボストン関連の掲示板などで質問されることをお勧めします。リンクにボストン情報の掲示板のリンクがありますので、どうぞご利用くださいませ。

最後にこのブログに掲載されている写真、文章などすべての内容の転載は固くお断りします。どうかご遠慮ください。

ミル姐の本棚

読書中

selected entries

categories

archives

recent comment

recent trackback

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM