RI州ニューポート:アメリカ最古のユダヤ会堂と豪邸ローズクリフ

  • 2014.04.20 Sunday
  • 22:46
JUGEMテーマ:アメリカ生活

今週はこのエリアの公立の小中高校は春休みである。明日月曜日はマサチューセッツ州独自の祭日、Patriots Day(愛国者の日)で三連休。いいお天気なので、今日日曜日は日帰りでドライブに行ってきた。

行き先は隣のロード・アイランド州のニューポートという海辺の町。黒船で幕末の日本にやってきたペリー提督の出身地でもあり、それを記念して毎年黒船祭り(Black Ship Festival)が行われている。20世紀初頭、ニューヨークエリアに住む大富豪たちの夏の避暑地として、数多くの豪邸が建てられたところだ。今でも息を呑むようなお屋敷が並び、その多くは個人の邸宅であるが、その中の何軒かは町の歴史協会に寄付され、Newport Mansionsとして一般公開されている。私は今までその中でThe BreakersMarble Houseの二軒を見学した。今回はRosecliffという邸宅を見学しようということになった。

ボストンからニューポートまでは1時間半くらいである。まずはダウンタウン(町の中心部)へ。豪邸が立ち並ぶBellavue Avenueはこの中心部からちょっと離れている。ダウンタウンで夫が前から気になっていた場所があった。
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Touro Synagogue(トーロ・シナゴーグ)はアメリカで最初に作られたユダヤ教の会堂である。この町には1600年代の半ばから、スペインやポルトガル系のユダヤ人たちが移住し始めて、17世紀後半には既に15家族が暮らしていた。この会堂はイギリス系アメリカ人でニューポートの住民だったハリソンという建築家によって設計され、1763年に完成した。今でも会堂としてユダヤ教の人々の礼拝に使われているが、一般公開の時期が非常に限られており、夫は前からここを見学したいと思っていたらしい。幸い、復活祭の日曜日である今日、この会堂は一般公開されていて、中に入り、話を聞くことができた。
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前庭から見た会堂
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読書レビュー:若いひたむきな寿司職人の仕事、友情、そして恋…山本一力「銀しゃり」

  • 2014.04.18 Friday
  • 21:10
JUGEMテーマ:読書
昨日に引き続いてここ数ヶ月で読んだ本のレビュー。山本一力の作品は「だいこん」以来だ。今回は天明年間の江戸を舞台にした若き寿司職人の物語。名店で厳しい修行の後、深川に親方から受け継いだ杮寿司(こけらずし)のの伝統を守る店を構えた新吉。旗本の小西秋之助や魚屋の順平など、深川の人々との間に芽生える友情。試行錯誤して日々精進を重ねる新吉の真摯な姿と、彼を取り巻く人々のあたたかさがじっくりと心にしみてくる。

「だいこん」も若い女料理人の物語で、ついつい前回のエントリーに書いた高田郁の「みをつくし料理帖」のシリーズと比べながら読んでしまったが、あたたかさの感じがちょっと違って、そのどちらもいいなあ、と思ったものだった。しょうがないなあ、と思う人も困った人も登場はするものの、小説にありがちないかにも、という悪人は出てこない。「だいこん」のときも、この人の人物の描き方はリアルであり、かつ視線があたたかいなと思ったのだが、この作品でもそれを実感した。みんな欠点のある普通の人間で、誤解することもあるし、あやまちを犯すこともある。いつもいつも正しい行動を取れるわけでもないけれど、でも登場人物がみんなすがすがしいのは、それぞれの立場なりの「向上心」があるからではないだろうか。泣いたり笑ったり、主人公や登場人物の悲喜こもごもに共感しながら楽しく読んで、それでも読み終わった後に、ふと自分の行き方をふりかえり、衿を正したくなる(ただし、あからさまなお説教調の小説やエッセイは苦手)、そんな前向きな気持ちにさせてくれる小説が、私は好きなのだ。

この人の作品は、もう少し色々読んでみたい。そして、美味しい箱寿司が食べたくなった。といっても、ボストンでは手に入るわけもなく、一人で悶えるしかないのが辛いところだ(笑)。

読書レビュー:みをつくし料理帖9 美雪晴れ

  • 2014.04.17 Thursday
  • 03:30
JUGEMテーマ:読書
忙しい毎日が続いてすっかり更新をサボってしまった。大学は春学期も終わりに近づいている。ボストンでは、やっと気温も20度に届き春が来た、と思っていた途端に今日の最低気温は氷点下。昨日やっとモクレンやレンギョウがほころび始めたというのに、今朝目覚めて外を見るとうっすら雪化粧だ。さすがにこの時期の雪はありえないことではないがちょっと珍しい。

さて、和書洋書含めてこの数ヶ月に読んだ本がいくつかあるので、少しずつレビューを書いていきたい。

まずはみをつくし料理帖第九巻の「美雪晴れ」。このシリーズもいよいよ十巻で完結することが決まったとか。まるであたたかく自分を迎えてくれる「ふるさと」のように感じられる「つる家」の人々との別れも近い。

この巻では澪を母親のようにいつくしんでくれていた芳が料亭「一柳」の主人、柳吾にのぞまれ、後妻として嫁入るいきさつが中心になっている。また、主人公の澪は自分の料理の腕で、なんとか幼馴染のあさひ太夫こと野江を身請けしようと工夫を凝らす。そのためにつる家からも離れる日が近づいているのだ。そのために「一柳」からの応援も得て、つる家の人々も澪と芳のために心を砕く。

その夢に向って進みながらも、日々の仕事の中で澪は、市井の人々に喜んで食べてもらえるよう、日々の料理にも悩み、工夫をこらす。そして芳の婚礼では、もう一つのドラマが起こる。芳の息子でかつて優れた料理人だったが、長年行方知れずとなり、再会かなった今では植木職人となっていた佐兵衛。その佐兵衛の未来に希望の灯がともるのだ。

独り身の料理人である澪が友達であるあさひ太夫、つまり野江を身請けする、という途方もない夢を抱き始めたとき、読者である私はそのスケールの大きさに驚くと同時に、どうやって澪はその夢を実現できるのか、と想像もできなかった。もちろん、澪自身も、その時にどうすればいいかわかっていたわけではなかった。ただ、ひたすらその想いを胸に抱き、自分の仕事を日々誠実にこなしながら、常にどうすればその夢が適うか、自問自答し続けた結果、ここに至ってその答えが少しずつ明らかになり、それを実行にうつし始めたのである。そのために過去には恋もあきらめた。

澪の人生は、夢を追いかけるだけでなく、地道な努力を積み重ねる人生である。大きな夢と毎日の一歩一歩の積み重ね。人生にはその両方がなければならない、とつくづく思う。それは難しいことではあるけれど、夢があるからこそ毎日の積み重ねにも方向があり、毎日の積み重ねがあってこそ、大きな夢を見ることもできる。そして、その努力は周囲に若い彼女をささえてくれる多くの人々がいるからこそ、報われていく。

この八月に最終巻が出るという。楽しみなような、寂しいような、複雑な気持ちである。最終巻が出てそれを読んだら、もう一度、最初からじっくりと読み直してみたい。あ、もちろん作品を通していくつもいくつも登場する美味しそうな料理も最大の魅力である。そしてこの第九巻の巻末に添えられた特別収録の短編は号泣ものだった。こんなおまけがあるとは予想もしていなかったので、巻末の料理レシピと「特別付録」を楽しく読んだあと「あれ?こんなのがあるのね」と何の気なしに読み始めて、気がついたら同じ部屋でテレビを観ていた夫に心配されるほど泣いていた(苦笑)。皆さん、ティッシュのご用意を。

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