フレンチトースト警報!雪嵐Nemo(ニモ)の週末とボストンの雪事情

  • 2013.02.17 Sunday
  • 09:52
JUGEMテーマ:アメリカ生活

(写真はすべてクリックで拡大します)

先週アメリカ東海岸北部を吹き荒れた雪嵐Nemo(ニモ)。いわゆるNor'easterである。大西洋北部から吹きつけてくる強力なこの嵐はニューイングランド地方からニューヨークに湿った重い雪を大量に落とすだけでなく、その強風で海岸地方に高潮をもたらし、大きな脅威となる。

昨年はほとんど雪らしい雪が降らず、暖冬だった。その前の年は降雪量が非常に多く、多くの市町村が除雪の予算を使い果たし、やりくりに苦労したものだ。除雪した雪の処理にも困った。大雪が続くと、路肩に積み上げられる雪の量にも限界があるので、どこかへ持っていって処理しなくてはならない。

雪が降ると、凍結防止のため、道路には塩分を大量に含んだ化学薬品を散布する。マサチューセッツ州ではタイヤにチェーンを装着することは禁止されているので、代わりに道路の除雪と凍結防止剤散布は必須なのである。

そのため、除雪して積み上げた雪は汚染物と見なされ、海や川、湖などに廃棄することを法律で禁じられている。ボストン市やケンブリッジ市などでは、雪の廃棄場を設け、主要道路の雪は夜中などにトラックに積んでその廃棄場へ持っていく。

通常であれば大雪が毎日続くわけではなく、大抵は1-2週間の間があくし、その間には気温がけっこう上がる日もあるので、次の嵐までには積み上げた雪の大半が溶けてなくなる。しかし、二年前は降雪の頻度が高く、まだ前の雪山が残っているうちにまた大量に振る、ということが続いて大変だった。

さて、今年はどうなるか、と思っていたが、年明けまではこれまた異常なほどの暖冬。1月も降雪らしい降雪はなかった。そして2月。突然やってきたこの雪嵐である。一週間くらい前から大規模の雪嵐が来る、と予報が出始めた。

金曜日(8日)の深夜から降り始め、土曜日の昼ごろまで続く、という予報のこの雪。前日まで降雪量の予測は少し変化したが、最終的には50センチ以上という予報になった。湿気を含んだ重い雪ということで、その重さでたくさんの木が倒れることが予想され、それによって引き起こされる停電も予想され、電力会社や各自治体は除雪車や電気工事の車両の確保など、その準備に追われた。

こうなると気になるのがフレンチトースト予報(French Toast Alert)である。こちらで嵐の予報があると、停電や、大雪ででかけられなくなることを予想して、皆ある程度食料の買いだめをする。その時、一番大事なのがパン、牛乳、卵、というわけなのだ。実際はもちろん、他にも色々買うのだけど(笑)。で、この三つがあればフレンチトーストが作れる。

なので、雪嵐の深刻さの度合いに比例してこのフレンチトースト警報が発令されるというわけ。もちろん、ユーモアである。

水曜日までに、フレンチトースト警報は最大級のレッドに引き上げられた。私も水曜日に買い物に行き、月曜日まで十分足りるだけの食料を買い込んだ。これが大正解だったのだ。

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読書レビュー:本と活字とグーグルと永遠の命とファンタジー小説が一つになった不思議な物語

  • 2013.02.08 Friday
  • 19:55
評価:
Robin Sloan
Farrar Straus & Giroux (T)
¥ 1,669
(2012-10-02)

JUGEMテーマ:読書

行きつけの古本屋さんからのニュースレターで推薦されていた作品。koboでダウンロードして読んだ。

サンフランシスコの小さな本屋で働くことになった若者、クレイは、本屋のオーナーである老人、ペナンブラ氏と本屋がある秘密を抱えていることに気づく。出会ったガールフレンドでGoogleで働くキャット(英語ではKat、多分Katherine〜キャさリーン〜のニックネーム)や、幼馴染で今ではソフトウェアの会社を立ち上げなかなか裕福になったニール、ルームメイトで、映画やテレビのための特殊効果のセットを作っている(CGではなく、実際のセット)スペシャリストのマットなどの協力を得て、この本屋に隠されていた秘密を解き明かしたクレイ。ペナンブラはそのクレイの才能を見込んで彼をニューヨークへ連れて行く。ペナンブラの本屋は、実は世界中に存在する組織の一部だったのだ。その組織が何百年もかけて解き明かそうとしていた秘密をクレイとその友達なら解き明かせるとペナンブラは確信した。しかしニューヨークの組織の本部のリーダーはそれを許さない。クレイたちはそれでも本部で厳重に警護されている秘密を盗み出し、それを解明するべく動き始めた。はたしてその秘密の正体は?

ストーリーの中で秘密の鍵となるのが15世紀のベニスで活躍し、イタリックフォントを発明し、携帯できる小型本を最初に作り、ギリシャやローマの古典文学を多く出版したアルダス・マヌティウスという実在の人物である。私は今までこの人の存在を知らなかったので、これまた面白かった。

この小説はファンタジーと呼ぶべきなのかどうか。魔法が出てくるわけでもないし、この世ならぬものが登場するかと思ったらそういうわけでもない。でもとても不思議な魅力がある小説だ。

(ここから先はほんの少しですが途中のネタバレも含みますのでご注意ください。)


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