秋のMystic Lake

  • 2010.10.23 Saturday
  • 22:35
JUGEMテーマ:アメリカ生活
今日の午後は夫婦で散歩してきた。 

アーリントンには湖が二つある。一つはSpy Pond。Pond=池だが、それは昔からそう言われているだけで、実際の規格は「湖」である。 

もう一つはMystic Lake。これはアーリントンと、隣のWinchester、Medfordと三つの町に囲まれているかなり大きな湖である。この湖から流れ出してボストンの海に注がれているのが、クリント・イーストウッド監督、ショーン・ペン主演アカデミー賞主演男優賞受賞)の映画(2003年)のタイトルになったMystic River。 

どちらも徒歩圏内にある。昨日音楽教室に行くとき、ちょっと回り道をして、ミスティック湖沿いの道を通ったらなかなか綺麗だったので、夫を誘って小一時間ほどの散歩をして湖沿いの一部を歩いて来た。 

今年の紅葉は残念ながら外れである。でもたまに綺麗に色づいた木もあるのがせめてもの慰め。今日の抜けるような青空はとても綺麗である。まさに「天高し」だ。 
紅葉


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新メディア音楽の夕べとニューイングランドの秋

  • 2010.10.12 Tuesday
  • 12:03
JUGEMテーマ:日記・一般

もう一週間以上前の話になってしまうが、ちょっと面白いコンサートの仕事があった。

大学の同僚で作曲と電子音楽を教えている女性Jから依頼され、彼女の作品を演奏することになった。隣のロード・アイランド州の州都、プロビデンスにあるアイビー・リーグのブラウン大学のコンサートホールで行われる電子音楽のコンサートに彼女の作品が選ばれたのである。主催は新メディアによる芸術表現を促進する文化団体らしい。

そういういわゆる前衛音楽にあまり経験がないので大丈夫かな?と思ったが、J曰く、
「ピアノは普通にパートを弾いていればいいの。コンピュータがピアノの音を聞き取ってそれに色々反応するのよ」と。

これは面白そう、というわけですぐに引き受けた。ピアノのパートは無調だが叙情的でとても美しい。コンピュータはマイクでピアノの音を拾い、時にはピアノの音を真似たり、独自の音を出したりしての「共演」である。

これが綺麗なのである。こういった前衛的な電子音楽というと、あまり「美しい」という感じのものが少ないが、Jは母国中国でピアノと二胡を学び、両方の楽器専攻で学位を取得した後に作曲に転向したという人なので、アコースティックな響きにもかなりのこだわりがあるようだ。

コンサート自体も大変面白かった。いわゆる私が「典型的」だと思う電子音楽も多かったが、Jと同じように、チェロと打楽器の美しい曲を作曲し、それにコンピュータの音をからめていく作品もあり、これもおおいに感銘を受けた。私はやっぱり基本的に「美しい」音楽が好き、ということなんだろう。これは個人的な好みだから仕方ないが、他にも「好き」とはいえないが、「興味深い」と思える作品もあって、楽しい夕べとなった。

写真はリハーサルのときの舞台風景。小ホールだが、音響がすばらしく、ピアノもスタインウェイのフルコンサートだった。このサイズのホールにはちょっと大きすぎる楽器ではあるものの、これだけコンディションがいい楽器を演奏できるのはピアニスト冥利に尽きる。


それが10月2日の夜である。

10月に入り、ニューイングランド地方も秋めいてきた。今年は北のニューハンプシャー州では紅葉のピークが例年より2週間早かったそうだ。この週末は、ガイドの仕事が入り、昨年に続いてまたカンカマガス街道とフルーム渓谷のハイキングでお客様をご案内してきた。

昨年のブログはこちら。


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読書レビュー:古風な本格推理小説「地獄の奇術師」

  • 2010.10.09 Saturday
  • 20:55
ひさしぶりの読書レビュー。色々平行して読んでいるが、どれも大長編ばかりでなかなか進まないので、一休みして、最近ボストンの某所で数冊買い込んだ中古文庫本を読み始めた。その一冊目がこれ。

私は10代の頃、本格推理小説がけっこう好きで、手に入るものはちょこちょこと読んだ。絵ラリー・クイーンもアガサ・クリスティーも好きだったし、高木彬光の神津恭介シリーズなども好きだった。ただし理系人間ではないし、記憶力も悪いので(笑)、複雑なものはすぐ内容を忘れてしまい、数年後に読み返すと、また初読のごとく楽しめるという、損なんだか得なんだかわからないぼんやりファンでもある。

20代前半からアメリカで生活するようになり、思うように日本の本が入手できなくなってからは、あまり本格推理小説に触れる機会もなくなった。唯一偶然から手に取ることが出来て気に入ったのが綾辻行人の「館シリーズ」だった。あれは日本に帰国した折に揃えたものだ。90年代の話である。あれも名探偵の性格といい、不思議な館といい、古色蒼然とした(いい意味で)の本格推理小説らしくて面白かった。

この作品も、1990年代に書かれたとは思えない古風な本格推理小説である。時代は昭和42年を舞台にしており、東京都国立市の古い屋敷と裕福な旧家を舞台に連続殺人が繰り広げられる。江戸川乱歩や横溝正史を彷彿とさせる世界である。そういう意味では、本格推理小説の中でも古風な作風と言えるだろう。

ちょっと面白いのは、名探偵が女子高生の二階堂蘭子であるということだろうか。ワトソン役をつとめる語り手は同い年の男子高校生で、彼女の義兄弟黎人(れいと)。ちなみに、この本の作者の名前はまさにこの「二階堂黎人」である。言ってみれば、シャーロック・ホームズの作者がワトソンと記されているようなもの。

蘭子は孤児であるが、彼女の祖父の養子となった黎人の父、二階堂隆介の養女になった。で、この父、二階堂隆介は警視庁の警視正。なので、女子高生でもちゃんと警察とコネがあり、父を通して捜査に参加できる、という設定になる。

その二人の親友が上記の古いお屋敷「十字架屋敷」の息子暮林英希(ひでき)である。三人とも推理小説マニアの秀才で、三人の会話は高校生とは思えないほどペダンティック(笑)。

そんなおり、屋敷の周辺に顔に包帯を巻いた奇怪な男が出没するようになる。また、暮林家には不気味なトランプカードが送りつけられ、一家の殺人を予告されるかのようだった。地元の警察も関心を払うようになった。暮林家の家長は年老いた梅女。英希は彼女の長男の子供だが、英希の両親と弟は数年前に火事で亡くなった。その後梅女の次男義彦が、一家が所有する会社も屋敷ものっとるような形となり、現在に至っているのである。義彦には亡くなった先妻との娘、広美(音大を卒業してピアノを教えている)と、現在の妻竹子との間に出来た次女清美(高校生)、そして11歳の長男秀一がいる。

ある日、二階堂姉弟(兄妹?)と英希は高校生らしい大胆さでその男を追う。そして第一の殺人に遭遇したのだった。最初の犠牲者は義彦の次女、清美だった。蘭子と黎人も犯人に襲われ、怪我をする。父親隆介の陣頭指揮による捜査の中、蘭子の推理が展開する。そして暮林家の人間が次々と・・・。

と、設定だけでもけっこう複雑なお話である。まずネタバレをせずに感想を書いてみる。

ややおどろおどろしい雰囲気と、現実よりかなりドラマチックな設定はまさに古きよき時代の本格推理小説らしく、ひさびさの楽しさだった。ただ、名探偵役の蘭子といい、語り手の黎人といい、全然高校生らしくない。でも、昔の高校生は今より大人びていたかもしれないなあ。昔の若い人たちは、少しでも早く「大人になりたい」と思っていたし、大人びていることがかっこよかった。今とはけっこう反対である。そう考えると、まあわからない気もしないでもない。

昭和、それも高度経済成長が始まってまだ間もないけれど、まだ「戦後」が日本のあちこちに、そして人々の記憶にしっかり残っていた昭和42年を舞台にしているのも、なんというか昔の「火曜サスペンス劇場」の「明智小五郎シリーズ」みたいな、キッチュなようでキッチュでないムードがあって楽しい。これはまさに、あの頃(1980年代)の火曜サスペンス劇場の映像みたいなものを想像して楽しんでしまった。二階堂氏やファンの方は怒るかもしれないなあ(汗)。

私は上記したとおり、理系ではないので、密室殺人のトリックとかそういうのは「ふーん、そうなんだ」となってしまうが、犯人当ては色々考えて楽しむ。それで思い切り裏切って欲しいのである。しかし、この作品の本当の真犯人は残念なことに、かなり最初から見当がついちゃったのだった。これが無ければ星5つ付けるのだけど・・・。

さて、ここからは種明かし、犯人も含めた完全なネタバレを含めた感想となる。未読の方はご注意いただきたい。
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