JUGEMテーマ:
アメリカ
その後緑の丘と森が続く中、地方道路を運転して1時間後に、Farmers Marketに無事到着し、入場する。
上述したマサチューセッツの二つの歴史村に比べるとサイズが小さいので、3時間ほどもあればのんびりと堪能できそうだ。入口で渡された今日のイベントのチラシを見て、まずは実演が行われている薬局へ。
若い女性が、胃薬の錠剤を作っている。
ショウガを粉末にし、(多分乾燥させてある)ガム(粘りのある樹液)でまとめて、洗濯板をものすごく小さくしたような道具でまずは小さい棒状にし、それをまた横にして押し付けて、直径3ミ
リほどの小さな錠剤を作る。
当時は薬と言えば、みんなホメオパシー、つまりいわゆる「漢方薬」だった。西洋には西洋の知恵があり、たくさんの薬草や木、動
物から取った成分を使っていたのだ。
たいていの薬剤師は大学へ行くよりも、薬屋に弟子入りして修行し、一人前になる、という形だったらしい。
隣には医師のオフィスがあった。19世紀の中ごろ、既にアメリカには女医が存在した。この地域にも、バセット母娘という親子二代の女医がいたそうだ。
母親の方がどうやって医学の勉強をしたかはさだかでないと言うが、夫婦で開業し、その娘は、当時既に存在していた女子医大に進学し、医者となって両親の跡を継いでいる。すごいなあ。この当時、普通は女性が外で給料をもらって働くと言えば、都会でもない限り、多分学校の教師くらいしかなかったのだから、かなりのエリートと言えるだろう。
他にも週に一回発行する新聞屋もある。当時の技術そのままに、一字一字活字を組んで印刷している様を見せてもらった。普通のサイズの新聞1ページ分の活字を組むのに、一人でやると40時間かかるのだそうだ。当時既に大手だったニューヨークタイムズなどの都会の新聞は膨大な人数を投入して活字組みから印刷までの作業をこなし、大量の新聞印刷を可能にしていたが、農村では一ページの新聞を週一回発行するのがやっとだったようだ。写真は印刷機。
しかし、その伝統は今に生きており、アメリカでは小さな市町村でもたいていのところでは、最低でも週刊の新聞を独自に発行している。日本と違っていわゆるメジャーな全国新聞というものがない。USA Todayと言う新聞があるが、あれは空港とかホテルなどで買うか無料支給されて読むもの。自分の家に配達させて読むものではない。ニューヨーク、ボストン、ロサンジェルス、シカゴ、ワシントンDCなどの都市の地方新聞にはメジャーなものが多く、それらが日本の三大新聞に当たるような形である。