読書レビュー:宮部みゆき「あかんべえ」

  • 2008.05.30 Friday
  • 22:26
JUGEMテーマ:読書 時代小説

あかんべえ〈上〉 (新潮文庫)  あかんべえ〈下〉 (新潮文庫)
あかんべえ〈上〉 (新潮文庫)
あかんべえ〈下〉 (新潮文庫)
宮部 みゆき

友人が以前日本から送ってくれた、「宮部みゆきの江戸レシピ」 (2006年8月21日のブログ参照)で、この本に登場する料理を見てからずっと読みたいなあと思っていた作品。

宮部みゆきの時代小説は本当に面白い。他に私が好きな時代小説作家というと、池波正太郎、藤沢周平、平岩弓枝などの世代が多いが、80年代の栗本薫の伝奇時代小説(「お役者捕物帖」だとか、未完の「魔剣」だとか)も好きだった。宮部みゆきの時代小説は、この「あかんべえ」などのようなオカルトミステリーも多く、これがなかなか面白いのである。

この本も読み出したら止まらなくて、一気に最後まで進んでしまった。ついでに、本棚から「江戸レシピ」を引っ張り出し、料理を眺める(笑)。

深川に新しくできた料理屋「ふね屋」のひとり娘、おりんには、このふね屋にいる亡霊たちが見える。口をきいてくれない少女のお梅や、熱病で死にかけたおりんを治療してくれた按摩の笑い坊など、一見何の共通点もない亡霊たちである。初めての宴席は、亡霊の1人で、なにやら凄惨な過去をもつらしい侍、おどろ髪の仕業でめちゃめちゃになってしまうのだが、どうやら、この亡霊たちは、昔この土地で起きたある事件に関わった者たちらしい。

おりんは、のんびりした侍亡霊の玄之介や、粋な姐さん亡霊のおみつなどに助けてもらって、昔の事件をひそかに探り始めた・・・。

(以下はネタバレになりますので、未読の方はご注意ください)
続きを読む >>

読書レビュー:藤沢周平の獄医立花登手控え全4巻

  • 2008.05.29 Thursday
  • 22:01
JUGEMテーマ:読書 JUGEMテーマ:時代小説

新装版 春秋の檻―獄医立花登手控え〈1〉 (講談社文庫) 新装版 風雪の檻―獄医立花登手控え〈2〉 (講談社文庫)
新装版 愛憎の檻―獄医立花登手控え〈3〉 (講談社文庫) 新装版 人間の檻―獄医立花登手控え〈4〉 (講談社文庫)
新装版 春秋の檻―獄医立花登手控え〈1〉 (講談社文庫)
新装版 風雪の檻―獄医立花登手控え〈2〉 (講談社文庫)
新装版 愛憎の檻―獄医立花登手控え〈3〉 (講談社文庫)
新装版 人間の檻―獄医立花登手控え〈4〉 (講談社文庫)
藤沢 周平

やっぱり日本語の本はコストパフォーマンスが悪くて、文庫本だと、一冊1時間かからず読めてしまうのだった。でも不満はない(笑)。藤沢周平の作品の中でも前から読んでみたかったシリーズである。

NHKで1982年にドラマ化され、母が好きでよく一緒に観た。映画「連合艦隊」でデビューしたばかりで、ドラマはこれが初めてだった、わずか20歳の中井貴一のひたむきな演技が今でも強烈な印象を残している。丁寧に作られたいいドラマだった。選集のDVD四枚組が出ているようで、ちょっと観たいような気も(笑)。

初めて読む原作は、やはり藤沢作品らしく、あたたかみがあり、読めば読むほど気持ちのよい文体で、主人公をはじめとする登場人物もそれぞれ立体感があって、ぐいぐいと引き込まれた。

地方藩の侍の次男坊として生まれ、医学を志して江戸で町医者をしている叔父の下へ修行に来た立花登。居候ということで叔母にこき使われ、獄医として小伝馬町の牢にいる囚人たちの治療に当たる。正義感が強い立花は、単なる獄医の勤めだけでなく、囚人たちと、彼らを取り巻く娑婆の人間たちの人間模様にも巻き込まれながら、自分の信念を失わず、あたたかく人に接していく。彼を取り巻く人々(同心、岡っ引き、叔父一家、柔術道場の仲間たちなど)もそんな登をあたたかな目で見守り、共に成長していくようだ。

特に、叔父の娘で、登の従妹であるおちえが少しずつ変貌し、成長していく姿が良かった。いざというときにすっと飛んできてくれる盟友も、「平四郎活人剣」とちょっと似た感じの、青春らしさがいっぱいで、とても微笑ましい。

また何度も折にふれて読み返したいシリーズ。もっと長くてもいいのになあ、なんて欲張りなことを考えてしまった(笑)。

和書購入

  • 2008.05.28 Wednesday
  • 09:13
JUGEMテーマ:気になる書籍


毎年、誕生日に日本の姉から日本のアマゾンのギフト券が届く。ありがたく、大事に厳選して和書を購入させてもらっている。今年は、まずDVDーROMの広辞苑を購入した。ハードディスクにインストールできるタイプのもので、非常に使いやすい。ギフト券は有効期限が長いので、のんびりと考えて使っているが、先日2回めの注文をした。

一冊は、購読している雑誌、Domaniの広告で見つけて一目ぼれした本。これは絶対面白い!と確信して注文した。
『熈代勝覧』の日本橋―活気にあふれた江戸の町 (アートセレクション)
『熈代勝覧』の日本橋―活気にあふれた江戸の町 (アートセレクション)
小澤 弘,小林 忠

本日届いて、早速ぱらぱらとめくってみたのだが、やっぱり確信したとおりで、ものすごく面白い。この熈代勝覧という絵巻物は、ベルリンの東洋美術館の所蔵だそうだがら、1805年の江戸の日本橋あたりの風景と人々を実に写実的に描いたものである。それに解説がついて、それはそれは面白い歴史風俗の資料となっている。

日本史大好きで、こういう「歴史風俗」とか民俗学大好きな私にはそれはもう、こたえられない本なのである。夫も日本語はわからないが、こういう絵が中心だと色々楽しめるし、日本の昔を説明するには実に理想的な「教材」だ。

夏の間にじっくりと1ページ1ページ読むのが楽しみである。

その他に今回購入したのは、
東海林さだお「パンの耳の丸かじり」
宮部みゆき「あかんべえ」(上・下2巻)
藤沢周平の獄医立花登手控えシリーズ全4巻
(いずれも文庫版)
合計8冊。これから少しずつ読んでレビューをアップしていく予定。

Spike's Junkyard Dogsのホットドッグ

  • 2008.05.26 Monday
  • 22:30

ここのブログにもよく書いている通り、ホットドッグとハンバーガー(それにピザ)は、アメリカのB級グルメの究極である。

旅先であちこち美味しいホットドッグを食べてきたのだが、最近はたと気づいた。うちの周りで美味しいホットドッグ屋はいったいどこにあるのか?考えてみれば、ハンバーガーがとても美味しい行きつけのバーレストランはあるのだが、地元でホットドッグって買ったことがないなあ。

そう考え始めると、やたらに食べたくなってしまったのである。ラーメンとすごく似ていて、食べたくなると矢も盾もたまらなくなる、つまり、東海林さだお氏の言葉を借りると「矢もたて」指数がすごく高いのが、私にとってはホットドッグなのである。すっかりアメリカ人に感化されちゃったのかもしれない。

そんなわけで、こんなときに頼りになるのが、うちの町の住民メーリングリスト。2000人くらいの人が参加していて、特に美味しい店を探すのにはうってつけだ。食べもののことなら任せて!という常連がたくさんいて(笑)、たくさんアドバイスをくれる。●●を買うならここ、○○を食べるならここ、という具合に・・・。

そんなわけで、今朝メーリングリストに、「この辺でホットドッグの美味しい店は?」と質問してみた。

わずか4時間の間にすぐ5−6軒が推薦された。その中で、一番支持率が高かったSpike's Junkyard Dogsに午後、行ってみることにした。うちから車で10分くらいのところに支店があるのだ。幾つかある店は、どれもメジャーな大学の近くにあり、学生層をメインターゲットにしているらしい。三連休の月曜日、なんとなく町も静かでのんびりしていて、この店のあるエリアは普段駐車スポットを探すのも大変なのだが、割と楽にみつかった。
続きを読む >>

読書レビュー:(株)魔法製作所シリーズ第四巻

  • 2008.05.22 Thursday
  • 22:01
JUGEMテーマ:ファンタジー
Don't Hex With Texas
Don't Hex With Texas Shanna Swendson

3巻までは邦訳が出ているシリーズの最新作。

前作の最後で、やっとステキな魔法使い、オーウェンとの恋が成就したケイティー。しかし、自分がそばにいると、オーウェンのケイティーへの愛を利用してオーウェンに危害を加えようとする敵、アイドリスの思うつぼになってしまう。ケイティーは意を決して故郷のテキサスに帰った。

今作では、まだテキサスに帰って間もないケイティーの周囲で何か妙なことが起こり始める。魔法なんて縁がないはずのテキサス州コブの町。でも明らかに何かが起きているのだ。どうやらアイドリスがインターネットや雑誌広告で、全国的に魔法使いの通信講座を始めたらしい。

そしてコブの町でその魔法を悪用している初心者魔法使いがいるらしい。ケイティーはNYに連絡を取る。果たして応援に来るのは・・・?

(以下はネタバレが色々ありますので、未読の方はご注意ください)


続きを読む >>

Lexington のTeppanyaki

  • 2008.05.16 Friday
  • 22:34

金曜日はいつも家から車で10分くらいの音楽教室で7時半まで教えているので、帰宅が8時前後になる。そのため、外食することが多い。

今日はLexingtonに新しく出来て、前から行ってみたかった和風ステーキの店へ。店の名前は、ずばり、Teppanyaki (サイトは音が出ます。ご注意ください)
続きを読む >>

姉妹都市からのゲスト

  • 2008.05.04 Sunday
  • 20:02
JUGEMテーマ:アメリカ生活

日本のゴールデンウィーク中、私が住む町に、日本の姉妹都市から中学生のグループが訪問にやってきた。1週間、わが町のホストファミリーの家に滞在して、町役場や公立の小中高校、州議事堂などを訪問し、町やアメリカについて色々学ぶのが目的である。

昨年まで、毎年ボランティアで、そのうち1日だけ手伝っていた。ハーバード大学と州議事堂の見学の引率、案内をしていたのだが、今年からスケジュール管理の一切を引き受けて、2月からずっとあちこちに連絡を取り、訪問の手配をしたり予約を入れたり、また地元のマスコミへのPRなどをやってきた。ホストファミリーやこのプログラムの主導者であるS女史の助けで、馴れないツアーデスクの仕事も何とか無事に過ごすことが出来て、本当に感謝している。
続きを読む >>

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< May 2008 >>

お願い

コメント、トラックバックしてくださる皆様、ありがとうございます。

コメント、トラックバック共に、内容が不適切であると判断したもの、商業サイトによるもの、リンクなしのトラックバック、アフィリエイトのみのブログからのトラックバックは削除させていただきます。ご了承ください。

また、商業サイトによる無断(無許可)リンクはお断りさせていただきます。

また、ボストンの観光などについて個別でご質問をいただくことがありますが、なかなか個別の質問にはお答えする時間がありません。申し訳ありませんが、ボストン関連の掲示板などで質問されることをお勧めします。リンクにボストン情報の掲示板のリンクがありますので、どうぞご利用くださいませ。

最後にこのブログに掲載されている写真、文章などすべての内容の転載は固くお断りします。どうかご遠慮ください。

ミル姐の本棚

読書中

selected entries

categories

archives

recent comment

recent trackback

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM