国立肖像画美術館は、昨日行った、国際スパイ博物館の向かいだ。この肖像画美術館はスミソニアンの一部なので入場無料。
以前特許局の建物だったという肖像画美術館。色々ある肖像画や、それ以外の美術品も良かったが、なんといっても建物そのもの(外観、内観)が美しい。きれいなモザイクになっている床の広間では、小さな女の子がお姫様気分でゆったりと踊っていたが、その気持ちがよくわかる(笑)。数々の肖像画はとても興味深く、いわゆる芸能人コーナーでは、セロニアス・モンクや、レオンティン・プライス、ガーシュウィン、オードリー・ヘップバーンなど、様々なスタイルの肖像画があった。
ここのメインの一つは歴代の大統領の肖像画である。ああ、これ見たことある、と思わせるのはワシントンやリンカーン。リンカーンは銀板写真である。じっとみつめると、彼の表情は本当になんとも言えない。鬱に苦しんだという説もあるリンカーンの目は、哀しみに満ちているようでもあり、しかし厳しそうな口元には、そこはかとないユーモアも漂っていて、話し好きで、人にいろんなエピソードを語るのが昔から上手だったという一面もうかがえる。
面白かったのがこの一枚。ニクソン大統領といえば、ウォーターゲートで辞職、という汚点があり、また現職時代の会話テープで色々とんでもない発言が明るみに出たということもあり、あまり高評価されない人である。(近年は少し見直されているようだが)そんなわけで、多くの人(特にリベラルな政治視点の人たち)は彼を一種の「悪役」とみなしているのである。そんな中でこの肖像画はなんともいえない温かみがあり、私の目をひきつけた。近づいてみると、なんと私の大好きなノーマン・ロックウェルの筆によるものだったのだ。道理で、と納得。どんな題材もあたたかな目で描いたロックウェルならではの作品である。
そのほか、フランクリン・ルーズヴェルトの肖像画や、今HBOで特別シリーズドラマを放送中の二代目大統領、ジョン・アダムスの肖像画も良かった。やはり、色々知識がある人物の肖像画は面白い。