CDブックレビュー:Spirit Walker

  • 2006.09.28 Thursday
  • 08:46
Spirit Walker (Chronicles of Ancient Darkness)
Spirit Walker (Chronicles of Ancient Darkness)
Michelle Paver, Ian McKellen

Wolf Brotherに続く、Chronicles of Ancient Darknessの第二作。

邦題では「クロニクル 千古の闇」というシリーズ名になっており、一作目が「オオカミ族の少年」、そしてこの本作が「生霊わたり」というちょっとおどろおどろしい(笑)タイトル。生霊って書くとすごくオカルトっぽいし、なんだか源氏物語の葵上と六条の御息所を思い出してしまうのは私だけだろうか。うーん、でも確かにこのタイトルは訳すのが難しい。私だったら何て訳すだろう?「魂わたり」かなあ・・・。でもこれは見た目がなんとなくしっくり来ない。しかし、この言葉が作中で実際に意味するところを考えてみると、やはり「生霊」ではなく「魂」の方が適切な言葉だという気がする。まあ、翻訳の方にケチをつけているわけではない。こういう言葉って本当に訳するのが難しいと思うから。あくまで個人的な感覚の話である。

前作は一度本で読んでからCDブックを聴いたのだが、とにかくIan McKellen様(指輪物語映画のガンダルフ役の他数々の映画で活躍。シェイクスピア俳優でもあります)の朗読がすばらしく、本で読むよりはるかに楽しめたので、今回は本を読まず、いきなりCDブックで楽しんだ。ハリー・ポッターやエラゴンシリーズなどに比べると、CDの数も5枚と非常にコンパクトなストーリーだ。すぐ聴き終わってしまうのがもったいなくて、けっこうちびちびと長期にわたって聴いてみたりした。

今まで聴いたCDブックの中でも特に優れていたのは、Rob Ingris氏朗読による完全版Lord of the Rings(全部で47枚くらい)と、ハリー・ポッターのアメリカ版(Jim Dale氏朗読)の二つ。どちらも人物による声を使い分けだとか、声だけでその場の空気をどんどん作っていく技がものすごく、朗読を聴いていることを忘れ、目の前に物語の光景がどんどん開けていくような快感があった。今回のIan McKellenの朗読も同じような迫力と描写力があり、ただ朗読を聴いていたというよりも、映画を観たような感じが後に残るすばらしいCDだ。

(以下はネタバレを含む感想になります。ご注意ください)
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Wilson's Farm

  • 2006.09.24 Sunday
  • 18:20
Wilsons Farm外観







ボストン在住者のブログで紹介されることが非常に多いWilson's Farm。うちからは車で10分くらいのところにある。このあたりは農場が多く、新鮮な野菜を提供するFarm Stand(直売所)も多いが、このWilson's FarmはFarm Standというにはかなり立派なお店で、この農場の産物だけでなく、よそのものも含めてちょっとしたスーパーのような感じ。ベーカリーもあり、夫は毎年クリスマスやサンクスギビングで両親や妹さんの家に行くとき、ここのパイやケーキを買っていくのがしきたりになっているほどの美味しさだ。
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ユダヤ教の新年 Rosh Hashana

  • 2006.09.23 Saturday
  • 10:00
昨日金曜日はRosh Hashanaである。ユダヤ教の新年にあたる日だ。この祭日に関しては、ここなどを読んでいただくとして、私と夫は、私のグループの相棒であり、長年の親友でもあるH(彼女もユダヤ人)の家のディナーパーティによばれて行ってきた。毎年、ほぼ同じメンバーが揃うので、このRosh HashanaとPass Overで年に二回会う人々ともすっかりおなじみだ。Hの娘で、グループのメンバーでもあるMとそのボーイフレンド、そしてHのご主人のほか、ご主人がイギリス生まれ、奥さんがドイツ生まれのユダヤ人カップル、ご主人がユダヤ人で奥さんが中国系アメリカ人のカップル、やはりHの息子さん家族(5歳と1歳の男の子がいる)、それにHの友人の女性と、にぎやかな顔ぶれだ。

Yamulka私の夫もユダヤ人なのだけれど、あんまり宗教に熱心でない家庭で育ったので、こういう伝統は尊重するものの、普段はいたって普通の生活ぶりだ。結婚するときも、ユダヤ教の牧師さんだし、男性がかぶる小さな帽子のようなもの、Yamulkaを買う?と聞いたけれど「うーん、要らない」というわけで、何もかぶらず結婚した(笑)。しかし、先日私が仕事で某所に行ったとき、こんなYamulkaをみつけたのである。素材はスエードで、質もいい上、彼が熱狂的なファンであるレッドソックスのロゴ入り!さっそく買って帰り、彼に見せると非常に喜んでくれたのである。というわけで、今日は彼のYamulkaデビューとなった(笑)。Hの家でもみんなに大うけで、すっかり気を良くした夫であった・・・。
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マサチューセッツ予備選挙

  • 2006.09.19 Tuesday
  • 23:48
昨夜はマサチューセッツ州の予備選挙。民主党、共和党、それぞれに、知事、副知事候補の予備選挙をはじめ、州と連邦の議員や地方検事、州の検事長などの候補に投票して、11月の総選挙に出馬する人を選ぶののが予備選挙である。

今回の焦点は知事選。現職で共和党のMit Romneyは正式発表こそしていないものの、2008年の大統領選進出はほぼ確実と言われており、再出馬しないことをかなり早くから表明していた。共和党はすでに現在の副知事であるKerry Healey(写真右)が名乗りをあげ、対立候補も出ずに、そのまま知事選に出馬が決定している。

対する民主党は、3人の候補が名乗りをあげた。現在州検事長を勤めるTom Reilly、大富豪の実業家、Chris Gabrieli、そして、クリントン政権下のスタッフでもあり、コカ・コーラの幹部だったDeval Patrick(写真左)。最初は、知名度の高いReillyが好調だったが、この州の知事選(しかも予備選)史上にかつてない、と言われたほどの額の私財をつぎ込んでマスメディア作戦を展開したGabrieliの人気がぐんぐん上がってくると共に、熱狂的な支持者により、草の根運動がじわじわと広がった Patrickの支持率もうなぎのぼり。最終的にはGabrieliとPatrickの争いになった。
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読書レビュー:時代短編ミステリーの妙 Part 3

  • 2006.09.15 Friday
  • 17:55
初ものがたり
初ものがたり
宮部 みゆき

「本所深川ふしぎ草紙」に登場した岡っ引き、回向院の茂七を主人公に、江戸っ子たちが愛した「初もの」を主題にした6編の短編ミステリー。個性豊かな子分の糸吉や権三、気立てがよく賢いおかみさん(「かみさん」とだけあり、名前が出てこない)、謎の稲荷寿司屋の親父、その親父となにやら因縁がありそうな地元のやくざ、梶屋の勝三などが全編を通して登場するが、ミステリーはそれぞれ一話ずつきちんと完結する。

以下は一話ごとの感想。ネタバレも入りますのでご注意ください。
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読書レビュー:時代短編ミステリーの妙 Part 2

  • 2006.09.14 Thursday
  • 18:25
かまいたち
かまいたち
宮部 みゆき

4編の作品がおさめられている。二番目の「師走の客」以外はやや長めで、ストーリーにも奥行きがある、読み応えのある短編となっている。一番目と二番目は普通のミステリーでひねりも効いているし、後味もいいすっきりした仕上がりだ。

三番目と四番目は、9月4日にレビューを書いた、「霊験お初捕物控」シリーズのお初が初めて登場した作品で、こちらはオカルトミステリー。特に4番目は、後々の長編を予測させる、力の入った濃い内容だ。

以下、それぞれの短編の感想を書いてみる。ネタバレを含みますのでご注意ください。
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読書レビュー:時代短編ミステリーの妙

  • 2006.09.12 Tuesday
  • 22:20
本所深川ふしぎ草紙
本所深川ふしぎ草紙
宮部 みゆき

「本所七不思議」を題材にした、七つの短編集。ミステリーでもあり、人情噺でもある。
それぞれの短編の主人公はそれぞれ別だが、全編を通じて登場する岡っ引きの親分、回向院の茂七がまたいい。(後でレビューを書く「初ものがたり」もまた、茂七親分が活躍する連作集だ)

ここから先はネタバレも含みますのでご注意ください。
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あれから5年

  • 2006.09.11 Monday
  • 04:51
最初に:普段から政治のことを書くのは避けていますが、今日はこのことを書かないわけにはいかないという気持ちです。しかし、やはりこの話題から政治的なことに発展していきたくないので、もしコメントを残してくださる奇特な方がいましたら、どうか政治的なコメントは避けてくださるようお願い申し上げます。

5年前の9月11日の朝。あなたはどこにいましたか?何をしていましたか?

と言われて、答えられない人は、私の周りにはほとんどいない。そのときアメリカにいた多くの人が同じような鮮明な記憶を持っているのではないだろうか。

少し年上の人が、
「ケネディ大統領が暗殺された日も、そんな感じで人々の記憶に残っている」
と言っていた。それだけ人々の受けた衝撃が大きく、だからこそそのときの状況を、皆それぞれ、克明に覚えているのだ。

私の2001年9月11日火曜日の朝の記憶は、仕事場である大学のカフェテリアから。
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読書レビュー:宮部みゆきの時代ホラーミステリ連作

  • 2006.09.08 Friday
  • 19:30
今週から大学が始まった。今年はどうやら週3日で全部スケジュールを収められそうだ。昨年少し調整して、伴奏のうち、コーラスをやめたので、フレキシブルになれたのが幸いした。仕事の量はそれほど極端に減っていないので、火曜日と水曜日はLong Dayになりそうだけど、週の真ん中に一日オフがあるのはありがたい。プライベートや臨時の仕事も少し入れられるようになるし、音楽教室や大学、あるいはグループで臨時の仕事が増えたときも柔軟に対応できる。何より家事ができる!(笑)。

というわけで、フルスケジュールは来週から。音楽教室はまだ一週間お休みなので、身体はまだまだ楽だ。身体を少しずつ慣らしていけるのはありがたい。なんせ8月はかなり夏休みボケしてたからなあ・・・。

さて、先日日本のアマゾンに注文した宮部みゆきの時代ミステリ5冊が届いて、そのうち2冊を半日で一気読み(笑)。時代ホラーミステリの連作である。

震える岩―霊験お初捕物控
震える岩―霊験お初捕物控
宮部 みゆき

天狗風―霊験お初捕物控〈2〉
天狗風―霊験お初捕物控〈2〉
宮部 みゆき

長編2編で、主人公は本所深川の岡っ引き六蔵の妹、お初。義姉と一緒に一膳飯屋「姉妹屋」を切り盛りする看板娘だが、実は彼女には不思議な能力があった。不思議な話を聞き集めるのが好きな「御前様」と呼ばれる南町奉行、根岸肥前守鎮衛(ねぎしひぜんのかみやすもり)にかわいがられ、時には彼のために働きもする。ある日、お初は御前様から、与力見習いの若者、古沢右京之介を引き合わされ、六蔵とともに彼の面倒を見ることになった。見るからに優男で、いろいろいわくもありそうだが、頭の切れる右京之介とお初は、お初の不思議な能力と、右京之介の頭脳を駆使し、兄六蔵とともに不可解な事件の捜査に奔走する・・・。

というのが設定。ここから後はネタバレになるので、読みたくない方はご注意ください。
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シカゴ旅行6日目〜ドライブインでホットドッグ

  • 2006.09.03 Sunday
  • 23:14
いよいよボストンへ帰る日。今日は普通に高速道路を走って、シカゴへ戻る。

まずはMadison(Wisconsinの州都)からI-94 というハイウェイでまっすぐ東へ。地図ソフトでほとんど90度のままというまっすぐぶりだ。1時間ちょっとでミシガン湖のほとりのMilwaukeeにつきあたる。ここはビールの大工場で有名。ナショナルリーグの野球チームの名前もそれにちなんでBrewersである。スタジアムのそばを通ったら、まだお昼前なのにけっこう車がたくさんとまっていた。あちこちから煙が立ち昇っている。

これはTailgatersと呼ばれる人たちで、お昼過ぎからの試合にそなえてすでに待機しているのだが、なかには始まっても野球場に入らず、駐車場でバーベーキューをしながら携帯のテレビやラジオで試合を楽しむ人たちも多いのである。フットボールなどでもよくあるらしい。

ミルウォーキーでは街中を少しだけ走ってすぐ南下する。ここは「Little Chicago」と夫が言うだけあって、きれいな町だった。湖のほとりにあった美術館はかなり斬新なデザインでびっくり。
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