ハバネロペッパーの恐怖(思い出)
- 2006.01.23 Monday
- 19:44
アメリカで生活している日本人ならご存知だと思うが、同じ種類の野菜でも、日本とアメリカではかなり形や質が違うものはけっこうある。
きゅうり(アメリカのは太くて、あまりぱりぱりしていない)
なす(やはり大きくて、皮が厚いので、皮ごと食べられない)
ピーマン(こちらのは肉厚で大きい。生はおいしいし、グリルやオーブンで焼くとそれなりにおいしいが、水分が出てべっちゃりするので炒め物には向かない)
にんじん(細長い)
などなど。
母がよく作っていた料理で「ピーマンのきんぴら」というのがある。ピーマンを千切りにし、炒めて味噌ベースで味をつけるのだが、ピーマンのほのかな辛味と味噌の相性がばつぐんで、しゃきっと歯ざわりもよく、ご飯がすすむ、最高の副菜なのだ。こちらのピーマンで数度挑戦したが、べちゃっとなってしまって、水分で味もなんだかしまらない。
その日、ピーマン(こちらだとペッパー)のコーナーで色とりどりのピーマンをながめていると、端っこの方に、日本のような小さいサイズの緑のピーマンがあるではないか。形もかなり似ている。むしろ日本のより小ぶりだ。手に取ると、皮が薄くてぱりぱりしているのがよくわかる。
おお、これは?と思い、ほんの少しだけ端っこをかじってみた(お行儀悪いです、はい)。ほのかな甘みを感じたが、辛くは無い。このコーナーは、いわゆる「ピーマン」系と、「唐辛子」系が一緒に並んでいるので(どれもPepper)、間違えて唐辛子を買ってしまったら困ると思ったための味見なのである。(私は辛いのが大の苦手)
これならいけそうだ、と思った私は15個ほど購入した。一人暮らしが長いので、こういった副菜や煮物は一度にたくさん作って冷蔵庫で保存する習慣なのだ。
さっそくご機嫌で帰宅し、きんぴらを作り始めた。まずはピーマンを洗って包丁で頭を落とし、中の種を手でくりぬく。ざるいっぱいのピーマンを順に手早くさばいていく。
次に、中が空になったピーマンを切り開いて、縦に出来るだけ細い千切りにする。まな板の上に山盛りになっていく千切りピーマン。
このあたりから、指がやたらひりひりし始めたのだ。なんだろう?知らないうちに引っかき傷でも作ったかな?と思って手を眺めても、傷らしい傷もない。だけどなんだかしみる痛さが指全体を包んだ。まあ、なんだかわかんないけどいいや、と料理を続ける私。
痛い手を気にしないようにして千切り完了。中華鍋に、胡麻油を熱して、そこにピーマン投入。じゃ〜〜っという気持ちいい音と共に煙があがる。その瞬間・・・。
目が痛くなり、咳がごほごほと出てきた。あれ?風邪のひきかけかな〜、気をつけなくっちゃ。とにかく速く作って食事をすませちゃおう。
ピーマンのきんぴらは炒めすぎないのがコツ。砂糖、醤油、味噌ですばやく味付けし、仕上げにかつおぶしといり胡麻をまぶして出来上がりだ。そこでちょいと味見・・・。
ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ(長っ)
ルームメイトがいなくてよかった。こんなに辛いものは生まれてこの方、口にしたことがありません。ほんのちっちゃな一口なのに、この焼けるような痛みは!1秒足らずで吐き出したが、口の中、喉、唇、鼻の中、すべてが激痛で覆われた。目にしみて涙が止まらない。
這うようにして冷蔵庫へ行き、氷を口に含む。何かで、辛いものを食べたときには、氷が一番回復が速いと読んだので、それを頼りにだ。そのままレンジへ戻り、ビニール袋にきんぴらを全部入れて捨てる。しっかり口をしばり、二重にしてゴミ箱に入れたあと、思い立ってベランダへ。ドアを開けてみると、家の中に、辛い煙が充満しているのがよくわかった。零下15度で外は雪が積もっている寒い寒い日なのに、ベランダの戸を全開にして空気を入れ替える羽目に。
ちなみに、アメリカの台所には、外に通じる換気扇はありません。コンロの上にある換気扇は、煙の中の油をフィルターして、その空気をそのまま部屋に出すだけの機能しかない。なので、窓を開ける以外、本当の換気の方法はないのである。
さて、そんなわけで、その夜はずっと氷をひっきりなしにしゃぶっていた。口内の痛みが治まったのは3時間後だ。唇が3倍くらいはれ上がって、おちょぼ口の私がアンジェリーナ・ジョリーにでもなったような気がした・・・というのは、自分の痛みの感覚だけで、実際鏡を見ると、見た目は変わらなかったのだけど。
帰宅したルームメイトは辛味マニアで、普通の辛さでは物足りない、とよくほざいている(笑)人だった。「捨てちゃったなんてもったいない。自分が食べたのに」だと・・・。
いや、確かに私は辛さに免疫はないけど、でもあの辛さはちょっと普通じゃなかったよ・・・。
翌朝、後遺症はまだあった。コンタクトレンズをはめたら、飛び上がるほど痛い!どうやら指先に辛味成分の油がしっかりしみこんでしまったようなのだ。石鹸で、また中性洗剤でも指紋が取れるほどの勢いで洗ったのに、どうやら無駄らしい。この痛みは2週間ほど続いた。そして、その辛味成分の油はやたら血行をよくするおまけがあるようで、零下15度だろうが20度だろうが、その2週間、私は手袋いらずだったのである。本当に!指先は常にぽっぽと温かかった。冷え性で辛いもの好きの人にはいい治療法だろうか?(違)だけど、昔の人の知恵で、唐辛子を靴の中に入れるとあたたかい、というのは本当なんだろうなと思った。
翌日、私はスーパーに戻り、そのペッパーの名前を確かめた。その名はHabanero。
辛い唐辛子で緑のといえば、ハラピノくらいしか知らなかった私は帰宅してHabaneroを検索してみた。英語でも日本語でも出てくる言葉と言えば・・・。
「世界一辛い唐辛子」
「収穫や料理の時には素手で触らないこと」
・・・凶器じゃん、それ。
大学で教え子たちにその話をしたら、ポルトガル系の男の子が、
「ハバネロは、おばあちゃんが料理に使うけど、料理するときは必ずゴム手袋してるし、ジュースをちょっとソースの隠し味にいれるくらいだよ。入れ過ぎたら食べられないから、すごく気を使うんだ。丸ごと料理しちゃったの?すげ〜〜〜〜(変な尊敬のまなざしで見られた)」
・・・だと。
その後、日本ではハバネロスナックが売り出され、秋田ではハバネロきりたんぽなるものも作られているようだ。ああ、なんと恐ろしい世の中になったものでしょう(違)。
だけどね、それならみんな生のハバネロを料理して食べるといいよ!そして私みたいにたらこ唇の気分(気分だけね)を味わってひーひー言うといいよ!スナックなんて生易しいこと言わないでさ!どんどん素手で触って手袋代節約するといいよ!
・・・・・。
すいません、トラウマで一瞬取り乱しました。(違)
書いていても当時の辛さと痛さが生々しく思い出されます。
ハバネロなんて、大嫌いだ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
(夕日に向かって走るエンディングでよろしくお願いします)
きゅうり(アメリカのは太くて、あまりぱりぱりしていない)
なす(やはり大きくて、皮が厚いので、皮ごと食べられない)
ピーマン(こちらのは肉厚で大きい。生はおいしいし、グリルやオーブンで焼くとそれなりにおいしいが、水分が出てべっちゃりするので炒め物には向かない)
にんじん(細長い)
などなど。
母がよく作っていた料理で「ピーマンのきんぴら」というのがある。ピーマンを千切りにし、炒めて味噌ベースで味をつけるのだが、ピーマンのほのかな辛味と味噌の相性がばつぐんで、しゃきっと歯ざわりもよく、ご飯がすすむ、最高の副菜なのだ。こちらのピーマンで数度挑戦したが、べちゃっとなってしまって、水分で味もなんだかしまらない。
その日、ピーマン(こちらだとペッパー)のコーナーで色とりどりのピーマンをながめていると、端っこの方に、日本のような小さいサイズの緑のピーマンがあるではないか。形もかなり似ている。むしろ日本のより小ぶりだ。手に取ると、皮が薄くてぱりぱりしているのがよくわかる。
おお、これは?と思い、ほんの少しだけ端っこをかじってみた(お行儀悪いです、はい)。ほのかな甘みを感じたが、辛くは無い。このコーナーは、いわゆる「ピーマン」系と、「唐辛子」系が一緒に並んでいるので(どれもPepper)、間違えて唐辛子を買ってしまったら困ると思ったための味見なのである。(私は辛いのが大の苦手)
これならいけそうだ、と思った私は15個ほど購入した。一人暮らしが長いので、こういった副菜や煮物は一度にたくさん作って冷蔵庫で保存する習慣なのだ。
さっそくご機嫌で帰宅し、きんぴらを作り始めた。まずはピーマンを洗って包丁で頭を落とし、中の種を手でくりぬく。ざるいっぱいのピーマンを順に手早くさばいていく。
次に、中が空になったピーマンを切り開いて、縦に出来るだけ細い千切りにする。まな板の上に山盛りになっていく千切りピーマン。
このあたりから、指がやたらひりひりし始めたのだ。なんだろう?知らないうちに引っかき傷でも作ったかな?と思って手を眺めても、傷らしい傷もない。だけどなんだかしみる痛さが指全体を包んだ。まあ、なんだかわかんないけどいいや、と料理を続ける私。
痛い手を気にしないようにして千切り完了。中華鍋に、胡麻油を熱して、そこにピーマン投入。じゃ〜〜っという気持ちいい音と共に煙があがる。その瞬間・・・。
目が痛くなり、咳がごほごほと出てきた。あれ?風邪のひきかけかな〜、気をつけなくっちゃ。とにかく速く作って食事をすませちゃおう。
ピーマンのきんぴらは炒めすぎないのがコツ。砂糖、醤油、味噌ですばやく味付けし、仕上げにかつおぶしといり胡麻をまぶして出来上がりだ。そこでちょいと味見・・・。
ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ(長っ)
ルームメイトがいなくてよかった。こんなに辛いものは生まれてこの方、口にしたことがありません。ほんのちっちゃな一口なのに、この焼けるような痛みは!1秒足らずで吐き出したが、口の中、喉、唇、鼻の中、すべてが激痛で覆われた。目にしみて涙が止まらない。
這うようにして冷蔵庫へ行き、氷を口に含む。何かで、辛いものを食べたときには、氷が一番回復が速いと読んだので、それを頼りにだ。そのままレンジへ戻り、ビニール袋にきんぴらを全部入れて捨てる。しっかり口をしばり、二重にしてゴミ箱に入れたあと、思い立ってベランダへ。ドアを開けてみると、家の中に、辛い煙が充満しているのがよくわかった。零下15度で外は雪が積もっている寒い寒い日なのに、ベランダの戸を全開にして空気を入れ替える羽目に。
ちなみに、アメリカの台所には、外に通じる換気扇はありません。コンロの上にある換気扇は、煙の中の油をフィルターして、その空気をそのまま部屋に出すだけの機能しかない。なので、窓を開ける以外、本当の換気の方法はないのである。
さて、そんなわけで、その夜はずっと氷をひっきりなしにしゃぶっていた。口内の痛みが治まったのは3時間後だ。唇が3倍くらいはれ上がって、おちょぼ口の私がアンジェリーナ・ジョリーにでもなったような気がした・・・というのは、自分の痛みの感覚だけで、実際鏡を見ると、見た目は変わらなかったのだけど。
帰宅したルームメイトは辛味マニアで、普通の辛さでは物足りない、とよくほざいている(笑)人だった。「捨てちゃったなんてもったいない。自分が食べたのに」だと・・・。
いや、確かに私は辛さに免疫はないけど、でもあの辛さはちょっと普通じゃなかったよ・・・。
翌朝、後遺症はまだあった。コンタクトレンズをはめたら、飛び上がるほど痛い!どうやら指先に辛味成分の油がしっかりしみこんでしまったようなのだ。石鹸で、また中性洗剤でも指紋が取れるほどの勢いで洗ったのに、どうやら無駄らしい。この痛みは2週間ほど続いた。そして、その辛味成分の油はやたら血行をよくするおまけがあるようで、零下15度だろうが20度だろうが、その2週間、私は手袋いらずだったのである。本当に!指先は常にぽっぽと温かかった。冷え性で辛いもの好きの人にはいい治療法だろうか?(違)だけど、昔の人の知恵で、唐辛子を靴の中に入れるとあたたかい、というのは本当なんだろうなと思った。
翌日、私はスーパーに戻り、そのペッパーの名前を確かめた。その名はHabanero。
辛い唐辛子で緑のといえば、ハラピノくらいしか知らなかった私は帰宅してHabaneroを検索してみた。英語でも日本語でも出てくる言葉と言えば・・・。
「世界一辛い唐辛子」
「収穫や料理の時には素手で触らないこと」
・・・凶器じゃん、それ。
大学で教え子たちにその話をしたら、ポルトガル系の男の子が、
「ハバネロは、おばあちゃんが料理に使うけど、料理するときは必ずゴム手袋してるし、ジュースをちょっとソースの隠し味にいれるくらいだよ。入れ過ぎたら食べられないから、すごく気を使うんだ。丸ごと料理しちゃったの?すげ〜〜〜〜(変な尊敬のまなざしで見られた)」
・・・だと。
その後、日本ではハバネロスナックが売り出され、秋田ではハバネロきりたんぽなるものも作られているようだ。ああ、なんと恐ろしい世の中になったものでしょう(違)。
だけどね、それならみんな生のハバネロを料理して食べるといいよ!そして私みたいにたらこ唇の気分(気分だけね)を味わってひーひー言うといいよ!スナックなんて生易しいこと言わないでさ!どんどん素手で触って手袋代節約するといいよ!
・・・・・。
すいません、トラウマで一瞬取り乱しました。(違)
書いていても当時の辛さと痛さが生々しく思い出されます。
ハバネロなんて、大嫌いだ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
(夕日に向かって走るエンディングでよろしくお願いします)
なんだか あの頃まで思い出せる(^^
ハバネロは今やスナック菓子で手軽に買える時代。
私は辛いのダメだから食べたことないけどね(^^;
ようこそいらっしゃいませ!
「あの頃の」とおっしゃっているからAさんかな?
それともRさん?
Rさんは辛いのダメって言ってたからRさんかな???
あっちで聞いてみます(笑)。なんにせよハバネロは今では日本ではすっかりおなじみですよね。怖い世の中だ・・・。
ややこしい書き方したみたいでごめんなさいね。
ケンタッキーフライドチキンでは今ハバネロスパイスがついてきますよ(笑
私の正体はにわとりのなぎ声です(謎爆
♡☆さんね♪
ときどきそちらの日記も見せていただいてます。がんばってますね〜。