読書レビュー:畠中恵作・しゃばけシリーズ第11作「ひなこまち」

  • 2015.08.01 Saturday
  • 21:38
JUGEMテーマ:読書
ひさしぶりの更新となってしまった。半年ほど本業で非常に忙しい日々が続いてしまい、日本への旅行や新しいクラスの担当など、ブログに書きたくなるようなことは色々あったものの、なかなか書けず。

さて、一年に1−2回注文する和書。今回は6冊届いた。

まず一冊目は大好きなしゃばけシリーズの第11作目。
若だんなのところに現れた謎の木札には「お願いです。助けて下さい」と書かれてあり、しかも五月十日までに、と期限がある。誰が書いたのか、どうやって若だんなのところに届いたのかも分からない。しかしその後、若だんなのところへは不思議な相談事がもちかけられるようになる。一方、お江戸ではある人形屋が雛人形のモデルにするため、べっぴんの「雛小町」を町娘の中から選び、その娘はその雛人形を納める大名家にお目見えするという話でもちきりだ。

そして持ち込まれる相談事の数々…。
1.ろくでなしの船箪笥
  若だんなの友達、小乃屋の七之助と冬吉が持ち込んだ相談事は、彼らが上方の本家の祖父が亡くなって譲り受けた船箪笥のことだった。本家の伯父に、譲る前に中をあらためさせろ、と言われたものの、この箪笥はなぜか誰も開けることができない。預かってくれている叶屋(かのうや)もいい顔をせず、七之助は困っていたのだ。若だんなと妖(あやかし)はさっそくその船箪笥を調べ始める…。

2.ばくのふだ
  怪談噺を得意とする噺家、本島亭場久(ほんとうていばきゅう)の芸を聞きにある商家が自宅で催す寄席に出かけた若だんなと妖たち。しかし、そこで場久の噺に突然激高し、刀を振り回す侍が現れた。それ以来、江戸のあちこちで不思議なことが起こり始め、長崎屋でも普段に増して奇妙なことが起こる。どうやら夢を食べる獏が上野広徳寺の高僧、寛朝が悪夢除けに書く獏の絵から抜け出してしまったらしい。獏を捕まえてみると意外なことが…。

3.ひなこまち
  雛小町を選ぶための東西番付が作られることになり、われこそは、と張り切る娘たちを相手に古着屋は大繁盛。長崎屋の仁吉と屏風のぞきは古着行商の娘、於しなと知り合う。最近頻出する古着泥棒を一緒に追い、彼らは上方屋と名乗る怪しい行商を見つけるのだが…。

4.さくらがり
  上野の広徳寺へお花見にやってきた若だんなと長崎屋の妖一同。妖たちものびのびできるように、と高僧の寛朝が気を利かせて他の花見参詣客とは別のお堂に案内してくれた。そこへ次々と人々が現れる。まずは東の河童の首領、禰々子。若だんなが以前助けた西の河童からお礼をことづかってきたのだ。感謝の品に不思議な薬の数々を受け取る若だんな。続いて安居(あんご)という侍が相談事をもちかけてくる。妻の雪柳の気持ちがわからぬという。その後河童がくれた薬の一つ、ほれ薬が盗まれて、広徳寺境内が大変なことに…。

5.河童の秘薬
      雛小町が選ばれるのが五月十日だと知った若だんなは、かねて依頼されていた雛小町選びを引き受けることにした。謎の木札の日付と同じだったからだ。そして前章で出会った侍、安居の妻、雪柳が長崎屋を訪ねてくる。雪柳が長崎屋の前で見つけた迷子の親を捜しに若だんなと兄やたちは雪柳や子供と出かけるのだが、どうもあたりの様子がおかしい…。

といったお話。

「ばくのふだ」は、軽妙な出だしとは裏腹に、怪談噺そのものの恐ろしい結末。一瞬宮部みゆきさんの本だっけ?と思ってしまったくらいだ(笑)。「さくらがり」はでだしの出かける準備のところを読むだけでおなかがすいてくる(笑)。玉子焼きを作りたくなる。

そして全編を通してのテーマ「雛小町」と木札の謎がきれいにつながっていく最後の気持ちよさ。他人の悩みごとを解決しながら、それをいつも自分と重ね、思いをめぐらす若だんなのけなげさ。そしてあいも変わらず若だんな命の佐助と仁吉の横暴とさえ言える忠義っぷりもほほえましい。

最後は明るく希望に満ちた大団円。若だんなが複雑な思いを浮かべてのほろ苦い、あるいは切ないエンディングになる巻も少なくないので、この明るい終わり方はとても心地よい。

今回の解説は柳家喬太郎。落語そのままの語り口でこれもとても楽しい。
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