デラウェアのヴィンタートゥール博物館:財閥デュポン家の元邸宅

  • 2014.12.26 Friday
  • 21:34
JUGEMテーマ:博物館アメリカ生活

今年も例年通り、クリスマスは夫の妹夫婦が住むフィラデルフィア郊外へ。今年はドイツに駐在中の上の姪夫婦に続き、下の姪がオランダで工業デザイナーとして働くようになり、帰郷せず、大人6人だけの静かなクリスマスとなった。

私たちは24日にボストンを出て半日のドライブを経て夜に到着。クリスマス当日はプレゼントを開けたり、iPadのフェースタイムでヨーロッパにいる姪たちと話したりしてのんびり過ごした。そして翌日の26日。午前中は義母、夫の妹、私の三人で毎年恒例であるペディキュアへ。

26日の午後は毎年、何かしら外出するのが恒例になっている。映画を観にいくこともあるし、博物館などに行くこともある。今年はお隣の州、デラウェア州にあるWinterthur Museumへ。

1000ヘクタールを越える広大な敷地の中にあるこの博物館は、もともと米国の三大財閥の一つ、デュポン財閥の一族の邸宅だったものだ。ブランディワイン河の近くに本拠を構えたデュポン一族は1800年頃に革命後のフランスから米国に移住してくる。そして、火薬製造などで財を成す。

そしてこの広大な敷地と豪邸は19世紀後半に建てられ、20世紀初頭にさらに大幅な改築を経て、35室から175室の大邸宅となる。そして1951年、その大改築を行った当時の当主であり、アンティークコレクターとしても名高かったヘンリー・フランシス・デュポンは屋敷を博物館として一般公開し、敷地内のもっと小さな家に移り住んだ。

今日の博物館は1階と2階がギャラリーになっている。広大な敷地に入ってしばらくいくとまずは駐車場があり、そのそばにビジターセンターがある。そこで入場料を払い、そこからマイクロバスに乗ってさらに奥にある博物館へ向かうのだ。

 
博物館の入り口。
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邸内の見学は予約制のツアー。今回はYule Tour(クリスマスツアー)で、20世紀初頭のデュポン家のクリスマスの模様を再現したものだ。今回は4階と5階のエリアを見学。他に、家族やゲストの寝室がある6階や使用人の寝室がある7階を見学するツアーもあるらしい。

そのほか、1階と2階にはギャラリーがあり、こちらでは特別展示もある。

まずはYule Tour。少人数で振り分けてくれるので、うちの家族6人だけでガイドさんが一人付く、というなかなか贅沢なツアーだ。ビデオ以外の撮影はOKということで、色々写真を撮ってきた。まずは、ヘンリー・フランシス・デュポンが来客や家族と映画を楽しんだというホームシアターへ。そこへ行く廊下はゆるくカーブしており、彼が好んだという鷲の彫刻が数多く飾られている。
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劇場に来てびっくり。インドアなのに、ヨーロッパの田舎の中庭のようなデザインになっている。部屋を囲む四方の壁はヨーロッパのあちこちからとりよせた、実在の建物(取り壊しの予定になっていたものらしい)の外壁が使用されている。そこにシンプルな椅子やテーブルを置いて、みんなで映画を楽しんでいたらしい。なかなか面白い。ちなみにこのとき、スクリーン上に映っていたのは、当時の生活ぶりをしのばせるオードリー・ヘップバーン主演映画の「サブリナ」。
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続いて使用人たちがくつろぐ部屋。本棚やお茶道具のテーブル、呼び鈴(電動式)、そして食事用エレベーターなどがある。
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そこを通り抜けると広々としたダイニングルーム。テーブル中央には赤い蘭が華やかに飾られている。当時のこのような豪邸の多くはイギリスと同じで、敷地内に温室や庭園があり、邸内に飾る花はすべてそこで作られたものだった。
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クリスマス仕様のテーブルセッティングになっており、ナプキンの上にはサンタの形のジンジャーブレッドが載せられている。
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ダイニングルームから次の部屋に行く間のスペースも美しい。
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そしてカクテルルーム。ダイニングルームでの社交ルールは、会話は隣に座った人同士のみ、ということで、食事の前に、このカクテルルームでは違う組み合わせで座り、食前酒やキャビアなどの前菜とともにカジュアルな会話を楽しんだそうだ。
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ところで、あとでまとめて載せるが、この見学コースの中にはたくさんの違う柄の食器セットがあちこちに展示されていた。私は食器を見るのが好きなので、色々な部屋で食器棚の中に陳列されている食器を見るのも楽しかった。こちらはカクテルルームのセッティング。
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カクテルルームを抜けると娯楽室。広々した部屋にはカードテーブルが二脚あり、スタインウェイのグランドピアノもある。ヘンリー・デュポンの妻と娘はピアノをよく弾いたそうだ。
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特筆すべきはこの部屋の壁紙。中国から取り寄せられたもので、部屋の四方に中国の風物や人々が描かれている。この壁紙をこの部屋に張るために、わざわざもっと低かった天井を高く上げたそうだ。
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娯楽室を抜けるときれいな形の螺旋階段。階段の下は生のジャズバンドが演奏するスペースになっていた。当時はこの踊り場で生バンドの演奏に合わせて人々が踊ったそうだ。
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当時の様子が写真で残されている。
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クリスマス当日に家族が集まってクリスマスプレゼントを開けたリビングルーム。広い…(笑)。それぞれ受け取る人々の名札をつけたバスケットが置かれ、その中にプレゼントが入っている。
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ここにもお茶のセットが用意されていてこれがまた素敵な食器セット。
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大富豪であったにもかかわらず、当時のデュポン家のクリスマスプレゼントは他の財閥家に比べると比較的質素だったという。デュポン氏が夫人に贈るのは主にシンプルな真珠のネックレスや本だったそうだ。
 
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次の部屋にあったのはピアノかオルガンか…いずれにしても前面のパネルの細工がきれい。両側のロウソク立ても時代を感じさせる。
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この部屋は細長い廊下のような部屋だが、テーブルにこまごまとした女性用のおしゃれな雑貨が置かれている。当時のアメリカの上流社会では、大晦日と元旦は男性だけがパーティーなどに出かけ、女性は家で留守番と決まっていたとのこと。その代わり、元旦には夫が妻におしゃれな小物を贈るのが風習だったそうだ。小さなハンドバッグ、コイン入れ、扇子や手袋など、女性が喜ぶような品物ばかりだ。
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暖炉の上にある鏡の飾りも鷲のモチーフ。
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ボストン美術館もこんな感じの椅子があったなあ。
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白ワインを冷やすためのタブ。外側は木製、中は銅張りで濡れても大丈夫なつくり。きれいなデザインだなあ。
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デュポン氏の妻と娘の肖像画。
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玄関。
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175部屋ある、というだけに、この四階だけでもものすごい数のリビングルームがある。どの部屋でくつろげばいいのか迷いそうだ(笑)。
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この部屋で印象に残ったのは「マッサン」のマッサンとエリーの家のダイニングルームにあったのとよく似た感じのシャンデリア。
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壁の照明もお揃いのデザイン。
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さて、ここからは印象に残った食器セット。邸宅のあちこちに飾り棚があり、いったい何セットあったの?と聞きたくなるくらいたくさんある。食事用セット、お茶やコーヒーのセット。とりあえず何枚か印象に残ったものをここに載せる。
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次は、邸宅内のあちこちに飾られていたクリスマスツリー。ガイドさんから聞いて面白いなあと思ったのだが、このツリーの飾りつけを担当しているのは、なんとこの邸宅の電気工事を担当している男性なのだそうだ。ひょんなことから、彼がツリーの飾りつけに抜群のセンスを発揮することがわかり、それ以来彼に任せているのだとか。どれも素晴らしかったのでここにまとめて写真を載せる。それぞれ違うテーマ。
 
ツアーの開始場所のツリー。
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芍薬の生花をふんだんにあしらったゴージャスなもの。
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温室にあった巨大なツリー。
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青いLEDライトと白い雪飾りをあしらって、夜の一面の銀世界を表現したもの。幻想的できれいでした。
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妖精の庭と題された子供向けの楽しいツリー。キノコや妖精の人形があしらわれている。
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ツリーの下には金銀のキノコの輪の中にたたずむ妖精。
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アザレア(つつじ)の生花をふんだんにあしらったもの。
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これだけは上記の男性ではなく、園芸協会が一年かけて準備するツリー。ありとあらゆる花を一年かけて収穫し、ドライフラワーにする。そして年末に厳選したものを飾るのだ。さまざまな種類の色、形の花がぎっしりと飾られている。他のツリーは人工のものを毎年使うが、これだけはドライフラワーが最後には崩れてしまうため、生の木で毎年購入するのだそうだ。
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Yule Tour終了後は、階下のギャラリーの展示を見学。まずはアメリカでも大人気のイギリスの時代ドラマ、ダウントン・アビーの衣装展示。ヴィンテージの布地や古いドレスの一部などを上手に使ったものも多く、とても面白かった。

そして刺繍の展示があったのでそちらものぞいてみる。私が子供の頃、母が西洋刺繍に凝っていて、細かいステッチで色々作っていたのを思い出して懐かしかった。この写真の(テーブルクロスか何か)作品など、まさに母が当時やっていたものによくスタイルが似ている。
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1880年にロンドンの高級仕立て屋が作ったという金ぴかのマントル。エルビス・プレスリーとかリベラッチあたりが着そうな感じだ(笑)。しかし細工は素晴らしい。
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ベッドカバーの刺繍。これもキラキラサテンだが、中央の円の中はすべて刺繍のステッチで埋め尽くされているのがすごい。
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歴史好きにはとても面白い場所なので、フィラデルフィアエリアに旅行する人にはお勧め。デラウェア州とペンシルバニア州の境のすぐそばにあるので、それほど遠くない。夫の妹の家からは30〜40分というところだった。この博物館では、他に庭園ツアーや今日見た階のさらに上にある家族や使用人のベッドルームを見学できるツアーもあるとのことで、ぜひまた再訪してみたいと思った。春や夏に訪れて広い敷地内を散歩してみたいものだ。

 
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