映画レビュー:「ダージリン急行」〜三兄弟の珍道中

  • 2009.01.02 Friday
  • 22:53
JUGEMテーマ:映画

日本と違って、元旦が明けるとテレビもほとんど、すぐ平常に戻ってします。夫も今週は休みで、今日の夕食後、On Demand(ケーブルで、好きなときにコマーシャルフリーで観られるシステム)で観た一本。

オーウェン・ウィルソンとエイドリアン・ブロディはおなじみの顔だが、三男役のジェイソン・シュワルツマンはあまり馴染みがなかった。しかし、この3人がかもし出す雰囲気がなんとも言えずよかった。英語で言うところのChemistryである。

父親の死後、ばらばらになっていた三兄弟だが、長男フランク(ウィルソン)の計画で、失った絆を取り戻すべく、インドのダージリン急行で旅に出る。交通事故にあい、顔面傷と包帯だらけのフランク、子供がもうすぐ生まれるがマイペースな次男ピーター(ブロディ)、別れた彼女が忘れられず、こっそり彼女の留守番電話をチェック(パスワードを盗んだらしい)しながらも、急行のウェイトレスにちょっかいを出すちゃっかり者の三男ジャック(シュワルツマン)の珍道中は、なかなかフランクが計画したようにはいかない・・・。

というお話。コメディではあるが、ほろっとさせられる場面もあり、インドの光景が夢のように広がる。脇を固める俳優たちもいい。母役のアンジェリカ・ヒューストンの貫禄と、その迫力の中でいたずらっぽく光る目つきもなかなか魅力的だ。列車の車掌さんも、これまた良い味を出していたし、ビル・マーリーのわけわかんないカメオも、いかにも彼らしいペーソスがあった。


長男のフランクは、几帳面で、悪気はないのだけど、けっこう押し付けがましい性格である。なかなか共感できるキャラクターで(笑)、毎日その日の予定を細かく決めて宣言するあたり、私もこういうタイプだよなあとニヤニヤしてしまった。(私は二人姉妹の下なのだけど)

次男のピーターは、なんというかB型っぽいというか(笑)。飄々としているが、それはすなわちちょいと自分勝手、ということでもある。そして買い物のセンスが・・・(笑)。でも、実はけっこう繊細な部分もある。

三男が一番かっとんでいるキャラクターかもしれない。本能だけで生きているっぽいこの人、私が一番苦手なタイプかも(笑)。でもこういう人は、実は緊急事 態で一番頼りになったりするんだろうなあ、なんて思いながら映画を観ていた。暗いんだか無鉄砲なんだかわからない不思議なキャラクターだった。

静かな映画で、おなかを抱えてのた打ち回るような笑いはないが、静かににんまりしながら観る映画だろう。ちょっと悲しい思いも抱かせる。しかし、観終わっ た後の気分はなかなかいい。なんとなく、笑顔で、また明日から私も頑張って生きていこう・・・。そんな気分にさせてくれる映画である。

人生はおとぎ話のようにはいかなくて、家族の間で問題を抱えることもあるし、その問題のすべてが綺麗に解決するわけじゃない。でも、やっぱり血のつながり というのは大きいのである。どんな過去があっても、どんないきさつがあっても、一緒に育った家族である、というだけで、人はいろんなことを許せる場合が多 々あるのかもしれない。リアリティと映画は勿論違うし、例外もあるけれど、この映画を見ていると、そんなことを考えさせられる。

いろいろシュールな場面もあるが、ビジュアルにとても綺麗な映画だとも思う。サウンドトラックの選曲もとてもよかった。いろんな人が突っ込んでいるようだ が(笑)、なぜエンディングで「Oh! シャンゼリゼ」が流れるのか、というのは、パリとインド、という取り合わせじゃなくて、あの歌ののんびりした「人 生気楽に楽しもう」という感じが、映画のエンディングに合っているからなんじゃないかなあと、勝手に推測してみたりする。

私自身はあまりインドという国には向いてない気がするが(あまりスパイシーな食べものや、暑くて湿気のある気候が苦手なので)、インドで作られた映画を観 ると、いつもその風景に心を奪われる。色彩も自然も、映画を通して垣間見る文化も、私が知っている世界とはあまりにもかけ離れているからかもしれな い。 

あまり派手ではないが、こちらでも大変評価が良かった映画である。ニヤニヤ笑いながらしみじみ出来るなかなかの佳作。90分ちょっとという、今どきコンパクトな長さも大変よろしい。新春に自宅でリラックスしながら観るには最適な映画だった。
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