映画レビュー:大人のおとぎ話〜「バグダッド・カフェ」
- 2006.12.09 Saturday
- 21:20
バグダッド・カフェ 完全版
マリアンネ・ゼーゲブレヒト
前から観たいと思っていた一作。
ラス・ヴェガス郊外の田舎にあるガソリンスタンド兼モーテル兼カフェのバグダッド・カフェ。女主人ブレンダは頼りにならない夫、遊びほうける10代の娘、ピアノにしか興味のない10代の長男、乳飲み子の次男を抱えてイライラした毎日を送っていた。そこへ、ドイツ人の中年女性ヤスミンが突然客として現れる。徒歩で現れ、スーツケースの中身は男物の服ばかり。疑心暗鬼になる女主人。しかし、マイペースのヤスミンはその臆せぬ行動と、にじみでる暖かさで、いつの間にか、ブレンダも含めてバグダッド・カフェの人々の心をつかみ、カフェはいつしか人々が集まるようになる・・・。
(以下ネタバレも含みますのでご注意ください)
まず、キャストがいい。画家のルディ役のジャック・パランスは私のお気に入りの役者さんだし、ブレンダ役のCCH・パウンダーの演技もいい。何より、主役のマリアンネ・ゼーゲブレヒトがいい。最初は、ただの太ったオバさんにしか見えないのが、段々と美しく見えてきて、最後は輝くようでみとれてしまうのだ。
ブレンダは生活に疲れきっている。頼りにならない夫、思い通りにならないことばかり。娘は遊びほうけておしゃれと男にしか興味がないようだし、自分だけが必死で働いているのに・・・という苛立ちでいっぱいだ。そんなとき現れたこの変なドイツ人女性の客は、彼女にとって、迷惑以外のなにものでもなかった。
しかし、マイペースでカフェを掃除し、娘と仲良くなり、次男のピアノに聞きほれ、手品を学び、ヤスミンの存在はいつしか、このカフェになくてはならないものとなる。ブレンダも最初は、ヤスミンのすることなすこと、気に入らなくて仕方ないのだが、やがて心を開く。そして、ブレンダにとっても、ヤスミンは大事な存在となるのだ。夫が頼りにならなくても、彼女には友達が出来た。その友達は何も知らなくても、ブレンダのことをそのまま受け入れてくれるのだ。それがブレンダにとってどんなに大きな存在になったことだろう。初めてブレンダの顔に笑顔が宿る。
画家のルディも、ヤスミンの中に限りない美を見て、彼女を描く。最初は普通に服を着て、そして段々と、お互いに心を開き、ルディの描くヤスミンは服を一枚ずつ(ほぼ自主的に)脱いでいく。この過程がまた、お互いの心の距離の変化を表しているようで、とてもほほえましかった。
ブレンダとヤスミンの友情は、女友達ならではの深さを示している。時に、人にはこういう出会いがある。恋愛ではなく、知り合った時間の長さも関係ない。突如としてお互いの人生がクリックし、深い友情が生まれる。そんなことをこの映画は教えてくれる。
いったんは去ったものの、戻ってきたヤスミンとバグダッド・カフェの面々(常連客も含めて)が繰り広げるショーはとてもステキで、ブレンダも、ヤスミンも、娘のデビーも、そしてピアノを弾く息子のサロモ、ルディ、みんなキラキラ輝いている。そして、手品を楽しむ客の表情も。カフェは砂漠のオアシスとなったのだ。
ラストシーンはルディがヤスミンにプロポーズする。中年男ならではのシャイなプロポーズの仕方がよく、それに対するヤスミンの答えがまたいい。そのままエンドロールにもっていくところも潔い終わり方で心憎い。
元気が出て励まされる映画。不思議系ながら癒し度抜群。
ブレンダは生活に疲れきっている。頼りにならない夫、思い通りにならないことばかり。娘は遊びほうけておしゃれと男にしか興味がないようだし、自分だけが必死で働いているのに・・・という苛立ちでいっぱいだ。そんなとき現れたこの変なドイツ人女性の客は、彼女にとって、迷惑以外のなにものでもなかった。
しかし、マイペースでカフェを掃除し、娘と仲良くなり、次男のピアノに聞きほれ、手品を学び、ヤスミンの存在はいつしか、このカフェになくてはならないものとなる。ブレンダも最初は、ヤスミンのすることなすこと、気に入らなくて仕方ないのだが、やがて心を開く。そして、ブレンダにとっても、ヤスミンは大事な存在となるのだ。夫が頼りにならなくても、彼女には友達が出来た。その友達は何も知らなくても、ブレンダのことをそのまま受け入れてくれるのだ。それがブレンダにとってどんなに大きな存在になったことだろう。初めてブレンダの顔に笑顔が宿る。
画家のルディも、ヤスミンの中に限りない美を見て、彼女を描く。最初は普通に服を着て、そして段々と、お互いに心を開き、ルディの描くヤスミンは服を一枚ずつ(ほぼ自主的に)脱いでいく。この過程がまた、お互いの心の距離の変化を表しているようで、とてもほほえましかった。
ブレンダとヤスミンの友情は、女友達ならではの深さを示している。時に、人にはこういう出会いがある。恋愛ではなく、知り合った時間の長さも関係ない。突如としてお互いの人生がクリックし、深い友情が生まれる。そんなことをこの映画は教えてくれる。
いったんは去ったものの、戻ってきたヤスミンとバグダッド・カフェの面々(常連客も含めて)が繰り広げるショーはとてもステキで、ブレンダも、ヤスミンも、娘のデビーも、そしてピアノを弾く息子のサロモ、ルディ、みんなキラキラ輝いている。そして、手品を楽しむ客の表情も。カフェは砂漠のオアシスとなったのだ。
ラストシーンはルディがヤスミンにプロポーズする。中年男ならではのシャイなプロポーズの仕方がよく、それに対するヤスミンの答えがまたいい。そのままエンドロールにもっていくところも潔い終わり方で心憎い。
元気が出て励まされる映画。不思議系ながら癒し度抜群。
コメントありがとうございます。
そうですか、この映画がお名前の由来だったんですね。そうか〜、。
ネバダやニューメキシコなどは未知の世界なんですが、そういうお話を聞くと行ってみたくなりますね。カフェも行ってみたいなあ。やっぱりコーヒーメーカー壊れているのかしら(笑)。
双眼鏡を覗くサルが 'Thir...thirty-eight trucks?' と大盛況に驚くシーンの字幕が「28台」だったのが、確か完全版ではこっそり38に直してあったのも愉快な思い出です。
ラストの解釈は見た人任せ、序盤の伏線を一つづつきっちり纏めて行くなど、ヨーロピアンテイストならではの作りが、如何にも米国の砂漠な背景に溶け合うのは、ドイツから来たヤスミンが新風を吹き込むかの如くで味わい深かったです。