米国における電子書籍のメリット

  • 2015.08.27 Thursday
  • 22:16
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作者の国でありながらこの国では久しく絶版になっていたエラリー・クイーンのドルリー・レーンシリーズ四冊がやっとAmazonのKindleおよびkoboの電子書籍として登場した。(というか既に出ていたのかもしれないが、私がチェックするのは半年おきくらいなので…)

アメリカと日本では本の流通システムがまったく違う。アメリカでは再販制度がないため、本の値引きも頻繁に行われている。その代わり、非常にシビアで、たとえ評価が高い書籍でも、売れなければあっというまに絶版になってしまうのだ。書店にとって売れない在庫を抱えるのは損失になり、出版社にとっても在庫を抱えれば抱えるほど無駄な出費になるらしい。日本語訳の再販が続いているのに英語版のオリジナルが絶版、というケースも多く、昔日本語で読んだ英語の本の原書を読みたい、と探してもなかなか入手できず、がっかりすることも多い。

エラリー・クイーンは米国におけるミステリージャンルの父(二人なので正確に言えば両親というところか…笑)である。数々の名作品を生み出し、のちのミステリー作家たちに大きな影響を与えただけでなく、長きにわたってエラリー・クイーン・ミステリーマガジンを発行し、そこから数多くの新人を輩出してきた功績も大きい。

そんな彼らであるのに、今、米国内では彼らの作品は国名シリーズくらいしか紙の書籍が出ていないのである。英国の作家であるアガサ・クリスティーの本なら何度も再販され、いくらでも買えるのに…。

ここでちょっと脱線。

私はここ数年koboのブックリーダーを愛用している。Kindleとの違いは、米国のkoboが各地の小さな書店と提携していることだ。私は自分のブックリーダーを家の近所にある古本屋で購入した。ここは古本屋だが、新刊も頼めば取り寄せてくれる。こことkoboが提携しており、koboの口座を開設するにあたって、この古本屋を指定すると、私の口座はこの店と提携したものになり、koboから電子書籍を購入するたびに、この店に売り上げのいくらかが支払われる仕組みだ。そのため、Kindleよりは良心的な気がするのだ…。ごくたまにKindleにはあるがkoboにはない書籍もあるが、たいていのものはほぼ共通なので今のところあまり問題はない。

 
我が家は狭いのに本棚から本があふれ出し、最近は床に進出してきつつあるため、数年前から再読の可能性が低い本は古本屋で処分し、電子書籍で買えるものは少しずつ切り替えている。収納の問題だけではない。紙の本の良さもわかるが、年齢を重ねてくると、実は軽くて持ちやすく、文字の大きさや行間も簡単に調節できる電子書籍リーダーはとてもありがたい。わからない単語はそのままそこで調べることもできるし、印象に残る場所はハイライトしてあとで簡単に探すこともできる。

私のリーダーはバックライト機能つきの白黒なので、写真や挿絵が豊富なものには向かないが、普通の書籍としては非常に読みやすい。日本語のものは日本の電子書籍マーケット事情のため、海外在住者は購入できないが、青空文庫のものならkoboのフォーマットに変換してインポートできるので、吉川英治などの作品は充実してきた(笑)。マイクロSDカードを入れて容量を大幅に増やせるのもありがたい。今、未読既読、そして日本語英語の両方を含めて私のリーダーには152冊の書籍が入っている。まさに本棚を持ち歩いているようなものだ。外出先でも待ち時間などがあれば読書したいので、持ち歩けないような大きな本(ノンフィクションは特にペーパーバックでも大きいものが多い)も気軽に読める。

家にある本でも少しずつ古本屋で処分し、何度も読みたいものだけ電子書籍に切り替えていこうかと思っている今日この頃である。とにかく本の虫で、特にミステリー作家で気に入った人がいると、その人の作品を片っ端から読んでしまうので、本がたまりやすいのだ。できるだけ、がさばらないマスマーケット版のペーパーバックにし、ハードカバーを買うことは皆無に近いが、それでもたまると場所を取る。30冊くらいのシリーズも少なくないので、電子書籍に切り替えて断捨離し、すっきりしたいのだ…。

そして電子書籍の大きなメリットは、上に書いたエラリー・クイーンの作品のようなケースだ。高評価なのに絶版になった本も、データならそれほどコストがかからないので、少しずつ電子書籍化が進んでいるのである。私がkoboのリーダーを使い始めた頃、エラリー・クイーンの作品はほとんど電子書籍市場に出ていなかったが、今ではかなりの作品が買えるようになった。

これは私のようなオバサンにとってはとても嬉しいことなのだ。10代、20代の頃に日本語で読んで好きだった本を原書で読みたい。こちらに来て26年、紙の書籍で買えるものはほとんど買って愛読したが、絶版になっていたものはどうしようもなかった。それが今入手できるようになる。ありがたいことだ。

koboに数年前リクエストしていたノンフィクションの本も今チェックしたら買えるようになっていたので早速購入した。比較的簡単にメールでリクエストできるのが嬉しいところだ。

今電子書籍化を待っているのがDavid Eddingsのベルガリアードとマロリオンだ。彼の作品はごく一部しか電子書籍化されていない。もう一つはアイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズ。SF作家のアシモフだが、このシリーズは連作短編のミステリーだ。これも20歳前後に夢中になって読んだもので、もう一度読みたいのだがアメリカでは絶版。古本屋でも、米国アマゾンの中古書マーケットでもほとんど見かけない。

あとは日本の電子書籍がこちらから気軽に購入できるようになれば言うことないんだけどなあ…


 

読書レビュー:畠中恵の「まんまこと」

  • 2015.08.03 Monday
  • 21:48
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TVジャパンで放送され始めた「まんまこと」。一話目を観て気に入り、原作者が大好きな「しゃばけ」シリーズと同じ畠中恵さんだとわかったので、さっそく原作四巻を購入した。日本にいたときは外出のたびに必ず本屋に立ち寄り、色々な新刊本をチェックしていたものだが、こちらにいるとなかなかそういう機会もなく、一年に一度か二度、好きな作家のシリーズの新刊をチェックする、という感じだ。そのサーチの中でたまたま他の作家の作品が目についたりして世界がちょっと広がることもあるが、アメリカに住んでいて不便だなあ、寂しいなあ、と思う数少ないことの一つが、この、日本の本に出会うチャンスの少なさである。そんな中で出会った新シリーズ。さて、どんな感じだろう、とわくわくしながら読み始めた。
 
江戸の町名主、高橋家の跡取り息子、麻之助。十六歳まで真面目一方だったのに、突然お気楽な遊び人に変身してしまって六年たつ。親友で同じく町名主の跡取りで、女たらしの八木清十郎、そして子供のとき道場で出会って以来の幼馴染の同心見習い、吉五郎の二人とつるみながら、そんな麻之助が高橋家に持ち込まれるいろいろな相談事や揉め事を解決していくお話だ。
 
お江戸の町をゆったりと描く雰囲気、主人公がボンボンであることは、「しゃばけ」に似ているが、こちらの主人公は普通の人間で、彼を助ける友人たちも普通の人間。あくまで現実世界の物語である。(もっとも二巻の「こいしり」にはちょっと不思議なお話があるが、それはとりあえずおいておこう)
 
そして麻之助が今のようないい加減なお気楽者になったには、何か深い理由があるらしいが、これもこの一巻の途中で明らかになる。それに加えて突然許婚となったお寿ずの存在。一見のんきそうだが、内心は色々と揺れ動く麻之助なのである。
 
麻之助のところへ持ち込まれる厄介ごとの多くは、本来このような訴えを受け付けるはずの町奉行が相手にしないような出来事ばかりである。それほど大きな額の金銭がからむわけでもなし、一見犯罪がらみでもない(そして、多くの場合、結末も犯罪とは無縁だ)。しかし当事者にとってはのっぴきならないお話ばかり。未婚の娘のおなかの子の父親探し、家出して何も言わない娘の親探し、珍しそうな万年青の芽の鉢の持ち主探しなどなど…。結局は麻之助も足を使って歩き回る。町名主である高橋家の自宅に陣取ってふんぞり返っているわけにもいかず、江戸の町を歩いて色々な人々と話さなければならない。職人、商人、町娘…。
 
しゃばけの若だんな、一太郎は身体が弱く、うるさい兄やたちに囲まれているからなかなか外出も思うようにいかないが、二十二歳の遊び盛り(笑)の麻之助は自由なものだ。そして江戸っ子の名に恥じず、けっこう喧嘩っ早いらしい。畠中恵さんといえば「アイスクリン強し」という作品もあったな、と思いだす。今回の主人公と彼を取り巻く人間模様は、ちょっとその作品を思い出させた。
 
とりあえず一巻である「まんまこと」は登場するレギュラーたちの姿をくっきりと浮かび上がらせ、麻之助が生きる世界を見事に紹介してくれた、という感じ。これから読み進むのが楽しみだ。

読書レビュー:畠中恵作・しゃばけシリーズ第11作「ひなこまち」

  • 2015.08.01 Saturday
  • 21:38
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ひさしぶりの更新となってしまった。半年ほど本業で非常に忙しい日々が続いてしまい、日本への旅行や新しいクラスの担当など、ブログに書きたくなるようなことは色々あったものの、なかなか書けず。

さて、一年に1−2回注文する和書。今回は6冊届いた。

まず一冊目は大好きなしゃばけシリーズの第11作目。
若だんなのところに現れた謎の木札には「お願いです。助けて下さい」と書かれてあり、しかも五月十日までに、と期限がある。誰が書いたのか、どうやって若だんなのところに届いたのかも分からない。しかしその後、若だんなのところへは不思議な相談事がもちかけられるようになる。一方、お江戸ではある人形屋が雛人形のモデルにするため、べっぴんの「雛小町」を町娘の中から選び、その娘はその雛人形を納める大名家にお目見えするという話でもちきりだ。

そして持ち込まれる相談事の数々…。
1.ろくでなしの船箪笥
  若だんなの友達、小乃屋の七之助と冬吉が持ち込んだ相談事は、彼らが上方の本家の祖父が亡くなって譲り受けた船箪笥のことだった。本家の伯父に、譲る前に中をあらためさせろ、と言われたものの、この箪笥はなぜか誰も開けることができない。預かってくれている叶屋(かのうや)もいい顔をせず、七之助は困っていたのだ。若だんなと妖(あやかし)はさっそくその船箪笥を調べ始める…。

2.ばくのふだ
  怪談噺を得意とする噺家、本島亭場久(ほんとうていばきゅう)の芸を聞きにある商家が自宅で催す寄席に出かけた若だんなと妖たち。しかし、そこで場久の噺に突然激高し、刀を振り回す侍が現れた。それ以来、江戸のあちこちで不思議なことが起こり始め、長崎屋でも普段に増して奇妙なことが起こる。どうやら夢を食べる獏が上野広徳寺の高僧、寛朝が悪夢除けに書く獏の絵から抜け出してしまったらしい。獏を捕まえてみると意外なことが…。

3.ひなこまち
  雛小町を選ぶための東西番付が作られることになり、われこそは、と張り切る娘たちを相手に古着屋は大繁盛。長崎屋の仁吉と屏風のぞきは古着行商の娘、於しなと知り合う。最近頻出する古着泥棒を一緒に追い、彼らは上方屋と名乗る怪しい行商を見つけるのだが…。

4.さくらがり
  上野の広徳寺へお花見にやってきた若だんなと長崎屋の妖一同。妖たちものびのびできるように、と高僧の寛朝が気を利かせて他の花見参詣客とは別のお堂に案内してくれた。そこへ次々と人々が現れる。まずは東の河童の首領、禰々子。若だんなが以前助けた西の河童からお礼をことづかってきたのだ。感謝の品に不思議な薬の数々を受け取る若だんな。続いて安居(あんご)という侍が相談事をもちかけてくる。妻の雪柳の気持ちがわからぬという。その後河童がくれた薬の一つ、ほれ薬が盗まれて、広徳寺境内が大変なことに…。

5.河童の秘薬
      雛小町が選ばれるのが五月十日だと知った若だんなは、かねて依頼されていた雛小町選びを引き受けることにした。謎の木札の日付と同じだったからだ。そして前章で出会った侍、安居の妻、雪柳が長崎屋を訪ねてくる。雪柳が長崎屋の前で見つけた迷子の親を捜しに若だんなと兄やたちは雪柳や子供と出かけるのだが、どうもあたりの様子がおかしい…。

といったお話。

「ばくのふだ」は、軽妙な出だしとは裏腹に、怪談噺そのものの恐ろしい結末。一瞬宮部みゆきさんの本だっけ?と思ってしまったくらいだ(笑)。「さくらがり」はでだしの出かける準備のところを読むだけでおなかがすいてくる(笑)。玉子焼きを作りたくなる。

そして全編を通してのテーマ「雛小町」と木札の謎がきれいにつながっていく最後の気持ちよさ。他人の悩みごとを解決しながら、それをいつも自分と重ね、思いをめぐらす若だんなのけなげさ。そしてあいも変わらず若だんな命の佐助と仁吉の横暴とさえ言える忠義っぷりもほほえましい。

最後は明るく希望に満ちた大団円。若だんなが複雑な思いを浮かべてのほろ苦い、あるいは切ないエンディングになる巻も少なくないので、この明るい終わり方はとても心地よい。

今回の解説は柳家喬太郎。落語そのままの語り口でこれもとても楽しい。

映画レビュー:カンバーバッチ主演で第二次世界大戦イギリス情報部の暗号解読に貢献した天才数学者の姿を描く「イミテーションゲーム」 

  • 2015.01.08 Thursday
  • 12:33
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ひさしぶりに映画館で映画を観てきた。

ベネディクト・カンバーバッチ主演のImitation Gameである。日本では3月に公開予定で、邦題は「
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」だそうだ。

実在の人物であるアラン・テューリングを、テレビドラマ「Sherlock」のホームズ役やスター・トレックの最新映画での悪役、そしてThe Hobbit映画三部作でドラゴンの声を演じるなど、今、もっとも旬なイギリス俳優のベネディクト・カンバーバッチが演じる。

アラン・テューリング(日本ではチューリングと表記されるようだ)についてはこちらをごらんください。

彼が第二次大戦下のイギリスで、情報部のもと、全国から集まった精鋭とともにナチスの暗号解読のための機械を開発し、ナチスが解読不能を誇った暗号「エニグマ」に成功するまでの様子が物語の中心である。

数学者としては非常に優秀だが、アスペルガー症候群を暗示させるような行動を取るチューリングを、カンバーバッチは細かいところまで丁寧に演じていた。物語は時々フラッシュバックでチューリングの寄宿学校時代の回想をはさみこむ。苛められていたチューリングを救ってくれた友。その友達がくれた本が、彼が暗号解読に興味を持つきっかけとなる。

暗号解読チームは極秘プロジェクトとして、ブレッチリー・パークという場所で働く。何をしているのか家族にも恋人にも言えない状態で日々ナチスの暗号を解読していた。それぞれ個性あふれるメンバーだ。イケメンでちょっと調子がいいヒュー・アレクサンダーは最初の頃、チューリングとよく衝突するが、やがてチューリングの心強い味方となる。温厚だが実はとんでもない秘密を抱えているジョン・ケーンクロス(ダウントン・アビーでおなじみのアラン・リーチが演じる)、一番若いマシュー・ビアード。それに女性ながら暗号解読に非凡な才能を発揮したジョーン・クラーク(キーラ・ナイトリーが抑えた演技で見事に演じた)。

非常によく出来た映画だった。チューリングの過去と現在の話は一見関係がないようだったが、最後にしっかりとつながっていく。そのつながりがわかった瞬間の切なさと悲しさ。

そしてチューリングの生涯の最後は本当に気の毒なものだった。当時の法律の理不尽さが本当につらい。色々なことを考えさせる映画でもあった。だが、この部分は日本の人にはピンと来ないかもしれない。

戦後から既に70年が過ぎようとしており、いまや戦中のみならず、戦後の1950年代を舞台にしたドラマでさえ、アメリカでもイギリスでも「時代劇」(Period Drama)と言われるようになってしまった。戦後は遠くなりにけり、である。

1時間54分と、最近の映画にしてはそれほど長すぎず、よく編集されていると思った。秀作である。

読書レビュー:ヴィクトリア朝時代のロンドンが舞台のミステリー、Mrs. Jeffriesシリーズ

  • 2015.01.08 Thursday
  • 03:34
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20年近く前に出会って以来、少しずつ読んできたコージーミステリーのシリーズ、Mrs. Jeffries Mystery Series。Emily Brighwell(エミリー・ブライトウェル)というアメリカ人の作家による作品だが、彼女の名前を日本語で検索しても何も出てこないところを見ると、日本では彼女の著作はまったく出版されていないようだ。他の名前でロマンス小説も書いているらしい。

Mrs. Jeffriesシリーズはヴィクトリア朝時代のロンドン(19世紀後半)を舞台にしている。シリーズ1作目は1993年出版、現在32作が出ていて、来月には33作目が出る予定だ。電子書籍化も進んでいて、今は確か、ほとんどはKindleやkoboで入手できるはず。私も半分以上はkoboから購入して読んだ。最初の頃はほぼ無名だったようだが、シリーズを重ねるごとにじりじりと人気が上がってきて、今ではかなり安定した売り上げらしい。

32冊全部のリンクをここに載せるのは難しいので、私のブクログの本棚で、彼女の作品32作だけ抜粋したリンクをここに貼っておく。このブログを読んで面白そうだ、と思って下さった方は、ぜひこちらからアマゾンへ(笑)。

シリーズを通した設定を個々の作品ネタばれが極力ないように気をつけながら、登場人物たちの紹介を書いてみる。ただし、登場人物の説明上、一作目のネタばれがほんの少しだが入っている。ネタばれはたとえ少しでもイヤ、という人はまず一作目を読んでみてください。

時はヴィクトリア朝時代のロンドン。スコットランドヤードの警部、ウィザースプーンは独身で中年、とてもおとなしく冴えない男性。中流階級の出だが、裕福な伯母が亡くなり、その屋敷と財産を相続してそこに一人で住むようになる。犯罪捜査の才能はまるでなく、もともとは記録室の管理をしていた。死体を見るのが苦手だが、義務感と正義感は非常に強く、親切で誠実な人柄だ。

屋敷をしきるのは家政婦のジェフリーズ夫人。初老だが若々しく、親切で明るい未亡人だ。亡くなった夫はヨークシャーで巡査をしていた。犯罪捜査に興味があり、夫の生前にも色々夫から話を聞いていたので知識もわりとある。夫が亡くなったあと、年金生活を謳歌しよう、とロンドンに出てきたものの、すぐに退屈してしまい、どうしよう、と思っていたところに屋敷を相続したウィザースプーン警部が家政婦を募集しているのを知り、さっそく応募。犯罪捜査の才能がまるでなく、おとなしい警部をおだて、励まし、また彼の知らないところで犯罪捜査に協力して、彼をスコットランドヤードで一番の殺人事件捜査官として有名にしていく。

ジェフリーズ夫人のもとで犯罪捜査に協力するのが屋敷の使用人四人である。

まずはコックのグージ夫人。(当時、イギリスの上流階級の家で働く女性料理人たちは結婚していてもいなくても、名前をミセスで通していた。グージ夫人の場合も結婚したことはない)以前は貴族の家で料理人をしていたが、年老いたから、という理由で年金もなく解雇され、仕方なくウィザースプーン警部の家で料理人として働くようになる。最初は警官の家で働くなんて、自分も落ちぶれたものだと思っていたし、イギリス階級主義に対して何の疑問も持っていなかったが、ウィザースプーン家で警部の人柄を目の当たりにし、また他の使用人たちとともに、初めて自分が家族と呼べるようなあたたかい人間関係を築き、その人柄も少しずつ変わっていく。犯罪捜査における彼女の強みは、どこへも行かずに自分のキッチンでありとあらゆる情報を集められること。長年上流階級の屋敷で働いてきた彼女は今でも当時の同僚たちと連絡を取っており、彼らを招いては情報を集める。また、屋敷に配達に来るいろいろな業者たちからも情報を集められるのが自慢だ。

続いて馬丁のスミス。がっしりした肉体と、強面の顔だが、頭の回転も速く、心は優しい大男。警部が屋敷と一緒に相続した馬車と馬たちの世話が仕事だ。実はこのスミス、以前警部の伯母に仕えていたが、一攫千金を目指してオーストラリアに渡り、見事財を成して帰ってきた。もう働く必要はなかったのだが、家族のような愛情を持っていた警部の伯母に会いに行くと、なんと彼女は病の床についていた。しかも、多くの使用人たちがそれを悪用してろくに彼女の世話もせず、自分たちのふところを肥やしていたのだ。唯一何とかその伯母の世話をしようとしていたのが、若い従者のウィギンズだった。

スミスはそれらの使用人を追い出し、ウィギンズと二人で警部の伯母の最後を看取る。ウィギンズはスミスが裕福であることを知らないが、伯母はそれを知っていたものの、甥のウィザースプーンが心配で、スミスに警部の面倒を見てくれるよう頼んで息を引き取った。そのため、スミスは自分の富を秘密にして、馬丁としてそのまま屋敷にとどまる。その後使用人が増えるに従い、スミスはますます本当のことが言えなくなり、身分を隠したまま、彼らと犯罪捜査に携わるようになる。スミスはロンドンの居酒屋や馬車仲間などから情報を集める一方、自分の財力を利用して、情報屋から情報を買ったりもする。また、彼が扱う馬車や馬は捜査活動や犯人追跡にも役立っている。

ウィギンズは若いフットマン(従者)。最初の頃は10代のニキビ面であまり頭の回転もよくなく、自分たちが警部の犯罪捜査を行っていることに気づくのも一番遅かった。惚れっぽく、近所のメイドにすぐフラフラになったりもしていたが、成長するに従い、思いやりがあり、機転も利く、正義感にあふれた心優しい青年になっていく。勉強家でもあり、将来はジャーナリストか何かになりたいと思っている。犯罪捜査では、被害者や容疑者の屋敷の使用人からの聞き込みによる内情調査を得意としている。

ベッツィーは若いメイド。ロンドンの貧民街で育ち、辛苦をなめたあげく、瀕死の状態で警部の屋敷の玄関前に倒れていたところを助けられ、そのまま屋敷で働くようになる。警部に救われたという恩を強く感じており、犯罪捜査にも熱心だ。気が強いが頭も良く、美しい娘で、スミスはベッツィーのことを思っている。犯罪捜査では、被害者や容疑者の近所の商店での聞き込みを得意とするが、時に無謀な行為に出ることもあり、スミスをはらはらさせることが多い。

ニーヴェン警部はウィザースプーン警部の同僚だが、盗難事件を割り当てられることが多く、ウィザースプーン警部のことを嫉妬している。野心があり、政治家たちへのコネも多いため、それをアテにしており、犯罪捜査の腕は二流。また庶民を見下すため、捜査活動では彼らから必要な情報を得られないことも多い。ウィザースプーン警部のことを軽蔑しており、彼が立て続けに手柄を立てているのは、誰かが助けているからではないかと疑惑を持っている。

ルーティーは高齢のアメリカ人の未亡人。夫とともに銀鉱山で財を成してロンドンにやってきた。言葉遣いは乱暴で、今でも銃を持ち歩くような女性だが、情にもろく、面倒見もいい。非常に裕福で投資も上手なため、ロンドンの金融界に顔がきく。服装の趣味はかなり派手で、いつも派手な色合いの服を着飾っている。彼女はシリーズ一作目でウィザースプーンが手がけた事件の場に居合わせたため、警部と知り合いになる。賢い彼女は、警部の使用人たちが裏で捜査協力をしていることを知り、一作目の終わりに、ジェフリー夫人にある事件の捜査を依頼する。そして二作目以降、彼女は自ら望んでジェフリー夫人たちとともにウィザースプーン警部のため、犯罪捜査に参加するようになる。

ハチェットはルーティーの執事。色々いわくつきの過去があるようだが、ルーティーとは使用人と主人以上の信頼と友情でかたく結ばれている。(恋愛関係は皆無)常にエレガントな態度と言葉遣いを崩さず、ワイルドなルーティーをたしなめたり、はらはらしながら見守ったりする彼も、意外なところに色々とコネがあり、ロンドン中の色々な世界にいる知り合いへの聞き込みで犯罪捜査に協力する。ルーティーと、どちらがより事件捜査に貢献できるか、でいつも張り合っている。

ルース・キャノンベリーはウィザースプーン警部の近所に住む未亡人。警部より少し若いくらいではないだろうか。元々牧師の娘だが、年上の夫、キャノンベリーと結婚して貴族となる。ウィザースプーンと恋仲になるが、とにかく警部がオクテなので、ジェフリー夫人の協力が欠かせない。彼女もシリーズ途中から捜査に協力するようになる。彼女の場合、上流階級における自分の立場を利用し、ジェフリー夫人たちが会えないような人々から犯罪捜査の手がかりになるゴシップを聞きだす。

バーンズ巡査はウィザースプーン警部のアシスタントとして捜査にあたる初老の巡査。たたき上げで頭もいい。シリーズが進むにつれ、ジェフリー夫人たちの活動に気づくようになり、警部に内緒でジェフリー夫人たちとも捜査の情報をやりとりして捜査にあたるようになる。ニーヴェン警部のことが大嫌い。同じように上流階級の家で聞き込みをする場合、ぞんざいな扱いをされると黙っていないことも少なくない。気骨ある人柄。ウィザースプーン警部の誠実な人柄を心から尊敬しており、彼のためにベストを尽くしてサポートする。

このシリーズにおける殺人事件の大半は上流階級で起きる。まずは殺人事件のシーンから始まることが多いが、犯人は誰だかわからない。作品のペースはのんびりしており、それほど長くないので読みやすいのも魅力。英語もたぶんそれほど難しくないと思う。軽めのコージーミステリーは大人向けの洋書入門としてはなかなか悪くない。

映画「ゴスフォード・パーク」やイギリスの人気テレビドラマ「ダウントン・アビー」が好きな人には特にお勧め。当時のロンドンの人々の生活がいきいきと描かれていて、特に「階下」に住む人々、つまり屋敷の使用人たちの姿がよくわかるのも面白い。

また、32作と長いシリーズなので、シリーズを通して少しずつ登場人物たちの状況が変わっていくのも楽しいところだ。ウィザースプーン家が、一人として血はつながっていなくても「家族」としてつながっていくその過程もなかなか読んでいて嬉しくなるし、20年ちかくかけて読んでいると、みんな自分の身内のような気がしてくるのも、長いシリーズの楽しさではないだろうか。

服装用語などがわからなくて、読書を中断して調べたりすることもあるが、それも私にとっては読書の醍醐味だったりする(笑)。ロンドンの地理がわかったらもっと面白いだろうなあとも思う。シャーロック・ホームズが活躍したのとちょうど同じ時代のロンドンで老若男女たちがそれぞれの知恵と経験を尽くして素人ながら、犯罪捜査の腕を競い合う楽しい物語である。来月に出るという最新作が楽しみだ。

デラウェアのヴィンタートゥール博物館:財閥デュポン家の元邸宅

  • 2014.12.26 Friday
  • 21:34
JUGEMテーマ:博物館アメリカ生活

今年も例年通り、クリスマスは夫の妹夫婦が住むフィラデルフィア郊外へ。今年はドイツに駐在中の上の姪夫婦に続き、下の姪がオランダで工業デザイナーとして働くようになり、帰郷せず、大人6人だけの静かなクリスマスとなった。

私たちは24日にボストンを出て半日のドライブを経て夜に到着。クリスマス当日はプレゼントを開けたり、iPadのフェースタイムでヨーロッパにいる姪たちと話したりしてのんびり過ごした。そして翌日の26日。午前中は義母、夫の妹、私の三人で毎年恒例であるペディキュアへ。

26日の午後は毎年、何かしら外出するのが恒例になっている。映画を観にいくこともあるし、博物館などに行くこともある。今年はお隣の州、デラウェア州にあるWinterthur Museumへ。

1000ヘクタールを越える広大な敷地の中にあるこの博物館は、もともと米国の三大財閥の一つ、デュポン財閥の一族の邸宅だったものだ。ブランディワイン河の近くに本拠を構えたデュポン一族は1800年頃に革命後のフランスから米国に移住してくる。そして、火薬製造などで財を成す。

そしてこの広大な敷地と豪邸は19世紀後半に建てられ、20世紀初頭にさらに大幅な改築を経て、35室から175室の大邸宅となる。そして1951年、その大改築を行った当時の当主であり、アンティークコレクターとしても名高かったヘンリー・フランシス・デュポンは屋敷を博物館として一般公開し、敷地内のもっと小さな家に移り住んだ。

今日の博物館は1階と2階がギャラリーになっている。広大な敷地に入ってしばらくいくとまずは駐車場があり、そのそばにビジターセンターがある。そこで入場料を払い、そこからマイクロバスに乗ってさらに奥にある博物館へ向かうのだ。

 
博物館の入り口。
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邸内の見学は予約制のツアー。今回はYule Tour(クリスマスツアー)で、20世紀初頭のデュポン家のクリスマスの模様を再現したものだ。今回は4階と5階のエリアを見学。他に、家族やゲストの寝室がある6階や使用人の寝室がある7階を見学するツアーもあるらしい。

そのほか、1階と2階にはギャラリーがあり、こちらでは特別展示もある。

まずはYule Tour。少人数で振り分けてくれるので、うちの家族6人だけでガイドさんが一人付く、というなかなか贅沢なツアーだ。ビデオ以外の撮影はOKということで、色々写真を撮ってきた。まずは、ヘンリー・フランシス・デュポンが来客や家族と映画を楽しんだというホームシアターへ。そこへ行く廊下はゆるくカーブしており、彼が好んだという鷲の彫刻が数多く飾られている。
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サンクスギビング旅行9日目:ヴァージニア州アーリントンの朝食

  • 2014.11.30 Sunday
  • 22:42
JUGEMテーマ:食べある記|グルメ旅行アメリカ生活

サンクスギビング旅行もいよいよ最終日。この日は、ワシントンDCのユニオン・ステーションから午前11時過ぎの長距離列車に乗ってボストンへ戻る。比較的余裕のあるスケジュールなので、朝はホテルがあるヴァージニア州アーリントンのダイナーで朝食をとることにした。Bob & Edith's Dinerという名前のダイナーだ。地元では人気があるらしく、日曜の朝から並んで待つ人が絶えない。店のウェブサイトはないが、Yelpなどの口コミサイトではわりと高評価である。
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こちらがメニュー。いかにもダイナーらしい。
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カウンター席の前にあるパイケースにも心惹かれるが、朝から大きなパイのスライスというわけにもいかない(笑)。
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肌寒い日だったので、まずはチキンスープをオーダー。日本人にとって、朝食メニューにスープがあるのはとてもうれしい。伝統的なスタイルでシンプルだけれど、しょっぱすぎず(アメリカのダイナーなどでこういうスープを頼むと、一日中加熱されて煮詰まっているせいか、とても塩分が濃いことが多い)、とても食べやすかった。野菜がしっかり多めに入っているのもうれしい。
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スタンダードに目玉焼き、ベーコン、トーストの朝食。ホームフライ(ゆでたジャガイモを炒めたもので、ダイナーの朝食メニューには必ずこれがついてくる)のかわりにまたグリッツを注文する。美味しいグリッツはまた当分食べられないだろうなあ。夫はオムレツ。
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満足してポトマック河を隔てたワシントンDCへ向かう。途中で目を引いた巨大オブジェ。米空軍の施設にあるメモリアルだそうだ。
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サンクスギビング旅行八日目:フロリダからヴァージニアまでドライブ

  • 2014.11.29 Saturday
  • 23:29

土曜日。朝起きてホテルのバルコニーからビーチを見下ろす。
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朝食後出発し、この日は一気にヴァージニア州アーリントンまでドライブする。アーリントンはワシントンDCとポトマック河を隔てた町で、戦死者を弔うアーリントン国立墓地で有名だ。

この日はとにかくひたすら走った。ガソリンスタンドに立ち寄ってガソリンの補給とトイレ以外は休憩もほとんどなし。高速なのであまり面白い景色もない。

でもせっかく南部を通るのだから、というわけで遅いランチをサウスキャロライナ州で食べることにした。夫が前もってリサーチしてくれたのだ。

夫が選んだのはTubb'sというシーフードレストラン。フローレンスという町にある。南部料理には詳しくない私だが、なかなか面白そうだ。
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壁の黒板にぎっしり書かれたメニュー。
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もちろん紙のメニューもある。
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私は南部出身の友人が数日前にフェースブックに投稿していた食べ物、シュリンプ&グリッツを注文してみることにした。グリッツと言えば朝食のイメージだが、これはかなりボリュームがあるらしい。夫はバーベキューポークのミニサンドイッチ。飲み物はいわゆるメイソンジャーに入って出てくる。もともと自家製のジャムやピクルスなどを入れて保存するために売られているガラス瓶だが、最近これを食器として使うのが流行っているようだ。中にサラダを具ごとに層になるようにして詰めたりするレシピもネットで広まっている。素朴なカントリーっぽい感じでこれのふたに穴をあけてストローを刺してコップがわりにしたりといろいろな用途が提案されているのである。
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そして料理が運ばれてくる。まずはおなじみのハッシュパピー。アメリカンドッグの衣だけ、という感じ。ここではピリっと辛いチーズソースがついてきた。
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夫のポークサンドイッチ。柔らかくてジューシーで美味しかったそうだ。
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そして私のシュリンプ&グリッツ。こ、この量はすごい。グリッツはとうもろこしを粗挽きしたものをやわらかく煮込んだお粥状のものだが、かなり濃厚である。それがどんぶり一杯分くらいの量なのだ。その上にいわゆるグレイビー(肉汁を小麦粉で溶いて濃く味付けしたもので、普通はローストした肉のソースに使う)がたっぷりかかり、角切りベーコン、さっと火を通した新鮮な海老、そして輪切りにしたスパイシーなソーセージがどっぷりと入っている。日本人なら四分の一でもうギブアップするボリュームである。私もそのくらいしか食べられなかった。とにかく重い(笑)。でも美味しい。南部の人にとってはソウルフードの一つだそうだ。
 
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旅行中なので残りを持ち帰るわけにもいかず、もったいないなあ、申し訳ないなあ、と思いつつも(ウェイトレスさんも「量多いですもんね」と笑っていた)レストランを出て再びドライブ続行。

夜、アーリントンが近くなったところで少し手前のフレデリックスバーグという町のイタリアンデリカテッセンの店、Basilicoというところで夜食。この店のフェースブックページの方が見やすいかもしれないので張っておく。

ここはお菓子もとても美味しそうだった。ケーキのケースの美しいこと。昼が遅かったのであまりおなかはすいていなかったが、思わず試したくてプチフールを一個買う。かなり美味しかった。
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土曜日の閉店間際だったが、まだけっこう人がいた。ジェラートも人気らしく、家族連れが美味しそうに食べていた。
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ケーキ類のショーケース。
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私はポテトサラダ、夫はピザの簡単な夜食をすませて、アーリントンへ向かい、ホテルでチェックイン。明日は午前11時過ぎの列車で首都ワシントンDCからボストンへ向かう。
 

サンクスギビング旅行7日目:Blue Springs State Parkでマナティに会う

  • 2014.11.28 Friday
  • 23:12
JUGEMテーマ:旅行

サンクスギビングの翌日はやや涼しいながらも晴れ。最高気温が15度ということで、ボストンから来ると充分暖かいが、フロリダの人にとっては「寒い」そうだ(笑)。しかし、やや寒いということはマナティたちが温かい水温を求めて湧き水の出るBlue Springs State Parkにやってくる、ということだ。この州立公園は夫の両親の家から車で40分ほどで、夫と私は2007年に夫の両親と出かけたが、妹夫婦は未体験。ちょうどタイミングが完璧なので、マナティを観に行くことにした。

まずは家族がお気に入りのBeacon Restaurantでブランチ。ビーチに続くショッピングストリート沿いにあるこのレストランはいわゆるダイナータイプ。ここでもやっぱり私はつけあわせにグリッツを頼む。サンクスギビングの翌日の金曜日は続けてお休みを取る人も多いので、店内は多くの家族連れでにぎわっていた。
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食後、夫の両親はいったん帰宅し、私たち夫婦はこのストリート沿いにあるIngressのミッションをプレイ。この辺りにはポータルが集中しており、それらをまとめてコースにしたものがミッションだ。リストにあるポータルを全部ハックすればミッション完了。これは短いコースなのですぐ終わる。ついでにこの通りの店をちょっとチェック。観光地なので値段は高い(笑)。

さすがフロリダ、と思ったこのTシャツ。サンタがスキューバダイビングをしている。寒いところのサンタよりスリムだ(笑)。
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歩いて帰宅し、そこから車二台に分かれてBlue Springs State Parkへ。14-11-28-06__.jpg
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サンクスギビング旅行4〜6日目: 大雨とDunes Park

  • 2014.11.25 Tuesday
  • 22:47
火曜日は朝から大雨。予報では、水曜日の午前中まで降り続くということで、それでもサンクスギビング当日はいいお天気になりそうでほっとする。

火曜日の午前中は義母のお供でキルトクラブへ。引退してキルトを楽しんでいる熟女の皆様にお会いしてきた。二年前にも行ったので覚えていてくれた人も多い。現役時代はニューヨークやニュージャージーに住んでいた人も多い。東海岸北部で働き、引退後はフロリダ、という人は多いのだ。今、夫の両親が冬に住んでいるこのフロリダの家も、夫の父方の祖父がニューヨークで働き、定年後に引っ越して亡くなるまで住んでいた家なのである。その祖父は亡くなるまで一度もニューヨークには戻って来なかったそうだ。フロリダの気候がよほど気に入ったのだろう。

義母はこの日はあまり長居しなかったが、みんな色々なプロジェクトに取り組んでいて、年が開けたら行われる展示会に出す共同作品(オークションにかけて、クラブの費用を稼ぐ)の作業や、それぞれ誰かにあげるプレゼント作りなどに励んでいた。それぞれ自分のミシンを持ち込んであちこちで作業が進む。出来上がった作品を持ってきてみんなに披露したりもする。

オークションのメイン出品である共同作品がこれ。メンバーのそれぞれが一区画のアップリケを担当している。義母の分はまだ未完成だが、帰宅してから見せてもらった。色とりどりの花々が色々な意匠であしらわれていてゴージャスだ。
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皆さんが持参しているミシンはもちろん、持ち運びできる電動式なのだが、こんな古いミシンもちゃんと改造して電動式にしている。実家のミシンもけっこう古い足踏みを電動式に改造したものだが、このミシンは祖母が愛用していた足踏みに良く似ていて、本当に古いタイプだ。この時代の黒くて艶があって、曲線が綺麗なミシンを見るといつも祖母を思い出して目が離せなくなってしまう。
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こちらはメンバーの一人が披露していた完成間近のキルト。パターンはシンプルだが、一つ一つの布地がとても面白い。近くでよく見ると、色々な柄、色があり、作っている女性は「これは私の人生、経験がすべて入っているのよ」と言っていた。かつて住んだ州の風物、行った場所などを象徴する絵柄や色を選んでいるのだ。奥が深いなあ。
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午後は家でのんびりし、近くのステーキハウスで早めの夕食。そして私と夫はレンタカーでオーランドの空港へ。夫の妹夫婦がフィラデルフィアから飛行機でやってくるのだ。相変わらず激しい雨が降り続いており、ショッピングモールの中にあるステーキハウスの前の駐車場は、車が通れないほど水が深くなっていた。車じゃなくて箱舟が要るね、とジョークを飛ばしながら、雨の高速を一時間ほど走ってオーランドへ。飛行機のルートも、直線コースでは嵐の中を通るので、遠回りして半円を描くように大西洋を通ってきたので少々遅れたが、無事に到着した。

両親の家は狭く、客用寝室は一部屋しかないので、この日からは家から1ブロックのところにあるホテルへ。二年前と同じだ。

水曜日は午前中に義母と義妹とサンクスギビングのための食料品の買出し。午後は家でのんびりした。夜はハンバーガーとサラダで簡単な夕食。夜は恒例のトランプゲーム。雨は昼過ぎにやんだが、昨日からの雨量は相当なもので、すぐ近所では床上浸水もあったようだ。基本的に夫の両親の家があるエリアは砂地なので、こういう時はちょっとした家の構造ですぐ浸水してしまう。ローカルテレビ局の取材車両が2ブロックほど離れたところにきていて、そこで取材された家の様子が正午、夕方、夜のニュースで繰り返し流れていた。サンクスギビングに備えてクランベリーソースを作っていたら浸水が始まった、と話す高齢の男性の動画が何度も流れたのでその顔も台詞も覚えてしまったほどだ。午後には少し水が引いて無事にサンクスギビングを迎えられたことを祈る。家のそばの二本の道路の間には排水用のくぼみがあり、普段は青々とした芝生が椰子の木に囲まれているのだが、ここも完全に池になっていた。

そしてサンクスギビング当日の木曜日。やっと晴れた。
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